いや、それだけじゃない。

ドームにいる全ての人の目が僕を見る。

中には、指差し手いる人もいる。

《俺達は、この事件を通して多くの事を学んだ。

これからの人生に活かせるように、また、被害者の分まで精一杯生きていこう!!》

ドーム中が拍手をした。

僕も、手を叩き続けた。

鳴り止まない拍手は、黙祷と同じぐらい続いた。

人の体だけで奏でられた音は、重なり合い大音量で響く…


人間は、おろかな動物だ。

でも、協力を知った人間に勝るものは無い。

僕はそう感じた。

人間の可能性というか…


不可能という言葉の無意味さというか…

とにかく、人間って本気になればまだまだできるって思ったんだ。

協力したときと、大切なモノを守ろうとするときは…


「行こうぜ俊!」

水城がみんなが向かっている出口の方へ向かい走り始める。

いや、奏ちゃんを追って走りだしたって言ったほうがいいかな?

チャーララーララー!

理沙ちゃんの車椅子を押そうとした時、僕の携帯が鳴り始める。


僕は、ポケットに手を突っ込み、携帯を取り出した。