明るく出迎えてくれた人は、今回は片手にマシュマロ。

確か、前回はチョコレートだったっけ?



「お久しぶり、です。
名前覚えててくれたんですね」

「当たり前でしょー。
弟のガールフレンドに対しての記憶力は、ハンパないんだから」


相変わらず賑やかで話しやすい人。


タイミングを失って、返せてなかった洋服を渡そうと差し出す。

が、それを無視するように満面の笑みを浮かべながら背中を押された。


「とりあえず、あがったあがった。
あのバカ、もう少しで帰ってくるはずだからさっ」

「え、いや、あの」


強引な性格に、戸惑わされるのも変わりない。

結局勢いに負けて、階段をあがってすぐの部屋に放り投げられてしまう。


もともと、会うつもりで来たんだから問題ないけど。

本人の許可なしに、勝手に部屋に入るのはちょっと………



「凪兎さ、この間泣いてたんだよねー。
ゆずゆちゃんから励ましてやってよ、お願い」


罪悪感に浸っていると、お姉さんから思わぬ依頼が。

しかも泣いてたって?


「あ、バカ弟には内緒よ。
何回聞いたって泣いたこと認めないくらい、強がりだからね」


よろしくね、と言って部屋を出て行ったお姉さんを見送って。

力が抜けるのに任せて、前みたいにベッドに座る。



凪兎、泣いてたの?

なんで?