「レミさん、村木様がいらっしゃいました。」

ボーイが私にそう耳打ちする。

私は軽く頷くと、

「ちょっと失礼します。」

にこやかにそう言って席を立つ。

「え~~っレミちゃん行っちゃうのぉ~?」

酒臭いオヤジが私の手を握り、ブンブン振りながらそう言った。

お前の手汗で湿ってて気持ちわりぃ~んだよ!このクソハゲオヤジが!!

そう心の中で吐き捨てたが、営業スマイルは崩さない。


「もぉ~う!ユリじゃダメなのぉ~?」

私と同じテーブルについていたユリがオヤジに甘えた声でそう言った。


「ダメなわけないよ~」

オヤジは私の手を離すと、ユリに抱きついた。

「もぉ~。やぁだ~。」

思いっきりカワイ子ブリッ子するユリ。

てめぇはほんとに自分が可愛いとでも思っているのか?

だとしたらおめでたい女だ。

ただ乳がデカいだけだろが。

男はてめぇの乳さえあればいいんだよ。

誰も顔なんか見ちゃいねぇだろが。

いい加減気づけっつの。

バーカ。

軽くそう口だけ動かしてから、私は村木さんがいるテーブルに向かった。