サクラside

遠くで聞こえる足音が、段々近づいてきました。

きっと、さっき聞こえた私を呼んだ声は、慎李もののはず。

なら、この足音も慎李なのでしょうか…。











「はぁ、はぁ、はぁ。」


あってました!

目の前には、息を切らした慎李がいます。

と言う事は、さっきの足音も慎李だと言うことですね!


「慎李、どうし「櫻!!大丈夫か!?何もされてねぇ?怪我は?痛いとこはないか?」…………大丈夫だよ。」

とりあえず、慎李の迫力に負けてしまい、それだけしか言えませんでした。


「おいてめぇ、何櫻を攫ってんだよ!」

慎李はサッと、私と佐久間くんの間に割り込みました。


「あぁ"、んだそれ。攫ってなんてねぇし。」

「攫ってんだろ!!教室帰ったら櫻いねぇし、聞いたら佐久間に連れて行かれたって言うし!!」


………ご、ごめんなさい。

何だか、私も一緒に怒られているようで、ちょっとショボンとしちゃいます。


「櫻、別にお前を怒ってる訳じゃねぇんだ。だから、そんな顔すんなよ。」

頭に置かれた手。
少しだけ顔を上げれば、苦笑いした慎李の顔が見えて、少し安心しました。


「田崎、悪いな。俺のせいで、嫌な思いさせたな。」

佐久間くんまで、謝るから、私はブンブンと横に頭を振った。