サクラside


体育館裏に呼び出され、早5分…いや7分くらい…でしょうか?


いい加減、沈黙に耐え兼ねて沈黙を破ったのは私でした。

だって、ずっとこのままって怖いじゃないですか!

「あ、あのぉ…」


なけなしの勇気を振り絞って、恐る恐る声を掛けて見ました。


「あぁ?」


「ひぃぃ!」


さっきまで、目を合わせなかった不良さん、もとい佐久間くん。
けど、話しかけた時に目が合ってしまいました。

それだけで、ビビリな私は怖がってしまいます。


すると今度は、頭上から舌打ちの音が聞こえました。

それに反応し、私の肩がビクッと奮えてしまいました。


「……んな、ビビんなよ。」


ボソッと呟かれた声に、ゆっくりと視線を上げると、その先には、苦々しく眉間にシワを寄せた佐久間くんの顔が見えました。


「…さ、佐久間…くん?、大丈夫ですか?」

私のせいでこんな顔をさせてしまった事は明白で、少し心配になり声を掛けてみました。


すると、佐久間くんの顔はみるみるうちに、顔が真っ赤になっていきます。


「大、丈夫。それより、さ。あの、俺と友達になってくれねぇか?」


赤くなった顔を、手で覆いながらそう言いました。


予想外な言葉に、私はキョトンとしてしまいます。

何も話さない私に不安感を抱いたのか、またあの顔をしました。


「やっぱ、ダメか?」


多分私は、この顔に弱いんです。

だって、あんなに怖かった佐久間くんでさえ、今ではそんな怖いとは思えません。


「あ、あの!私でよければ、友達になって下さい!」


じっと、相手の反応を待ち見ていると、佐久間くんの顔から、煙が出るんじゃないかと思うほど赤くなりました。


「…あ、あぁ。よろしくな、田崎。」


何とあの不良の佐久間くんが、私の名前を知っていたのです!

ちょっぴり感動です。


「はい!よろしくです、佐久間くん。」


さっきまで、怖がっていたのが、嘘みたいに私は笑顔で言いました。


何だかんだ言って、私はきっと、友達に飢えていたんでしょうね。

そう思っていると、こちらに駆けて来る足音と、幼なじみの怒声にも聞こえる声がしました。







「さぁくらぁぁぁ!!」