『空くん、分かるでしょう?和菜はね、きついことができんのよ。吹奏楽はきついのよ、ねぇ、分かるでしょう?』


お母さんも、多分必死だったんだと思う。


『和菜は、できるよ。きっと、できる。でも危険なんやろ?なら、俺も吹奏楽部入るけん。なら、いいやろ?おばちゃん』


あたしの目からは、より一層大きな涙の粒がこぼれ落ちた。

空、ごめん。


『…だめよ、空くん』


お母さんは、うつむいてる。

空には、大人にすらそれくらいの影響力があった。

今考えてみても、なぜなのかはさっぱり分からない。