あたしは、毎日泣いて、親とけんかして、そうやって逃げる場所はいつも空だった。


お母さんに宣言して、三週間ほどたった頃だろうか。

体験入部期間に入った頃だった。


その日、空は、中一にしては妙に大人らしい、思いつめた顔をしていた。

そして、夜になり、その日も空に泣きつくと、空はあたしのうちへ行った。

っていっても、家はマンションの隣同士だけど。


いきなりどうしたのか、とあたしが不安気な顔をしていると、空ははっきりとお母さんに言った。


『おばちゃん、和菜を吹奏楽部に何で入れさせてくれんの?』


この地方の方言は、温かい気がする。

他の地方の人は、少しきつい言い方だと言うけれど。