「和菜は分かってない、俺のこと。分かっとったら、そんなこと言えんやろ」


綺麗な顔を歪ませて、空が言うの。

そんな顔、初めて見たから。


あたしは、その場に立ち尽くしてしまった。


「…空?」


「ごめん、なんか今日俺おかしいわ。まじごめんけど、今日一人で帰ってくれん?」

「え、ちょ…」


そう言って、空は歩き出した。

学校の方へ、戻って行く。


…追いかけた方がいいって分かってる。


でも、あんな顔を見てしまって、足が地面に張り付いて、動かなかった。