ある日 私は
小さな人間の女の子と出会った。


小さな人間の女の子はそっと
私の体を触り 呟いた。

「私 『はな』。あなたは?」

優しい目だ。
優しい口調だ。

「私は…この世で一番大きい生き物。名はないなぁ。」


「そうなの?要らないの?」

「あぁ 要らないのではなく。
要らなくてもいいのだよ。」


「ふーん…。 じゃあ
『くろ』 そう呼んでいい?」

「『くろ』 別に構わないよ。」


そう言うと小さな人間の女の子は
ニッコリ笑った。


その日から
小さな人間の女の子は
毎日のように私の所に来た。

海の底の上 地上のこと
彼女のこと
彼女は 生き物と話せることが出来るらしい。


「でも みんな はなのこと信じてくれないの。
嘘つきっていじめるのよ。
あぁ 誰かに信じてもらいたい。」


「そうなのか… 私は
信じるよ。」

「本当!! 嬉しい!!
ねぇ! くろ! 私
くろと友達になりたい!」

「あぁ 別に構わないよ。」

「本当?! やった!
くろ!! 友達!!」

彼女は 楽しそうに
しゅべり 飛び跳ね
笑い 時には泣く

私はそんな彼女と一緒にいて
体の中が ホカホカするような
温かい感じがする。


聴くとそれは
『嬉しい』ということらしい。



『嬉しい』のかなぁ。