でもそれを聞いた私が後悔することになった。
「上手くいってる」と返答してきて私が一番辛かった。
なによりも叶は私よりずっとずっと幸せで…嫉妬した。
天と地。
それほど私たちは違う。
「俺さ……」
「うん」
「――このペンダント…」
手に握りしめられてる美佐がほしがってるペンダント。
あげてないの?
なんで?
火花飛ぶのはこっちなのッ!
「俺は美佐にはあげない」
意味がわからない。
私にそんなこと言われても困るよ。
美佐はそれがほしいの。首にぶら下げてる綺麗なクロスのペンダント。
意味が込められてそうなペンダント。
「美佐はほしがってる」
「これは…」
「これは?」
「大切な人に渡したいから」
ケッ…綺麗ごと言っちゃってそういうところが癪に触る。
「だからこれは美佐には渡せない」
「彼女でしょ?」
「そうだけど…」
”彼女”そうでしょ?
彼女の美佐にそれを渡すのは当然なのに…
大切な人?ふぜけないでよッ!
ペンダントを早く…美佐の手に渡らないとこっちが迷惑なの。
叶の都合で渡すとか渡さないとかそんな我儘で私はまた罰を与えられるんだ…。
芽瑠side
ペンダントが1か月経ってももらえない美佐はかなり機嫌が悪くなる一方。
「芽瑠~ペンダントまだッ?」
クラスのみんながいても性格を露にしていた。
叶のはまだ甘ったるい声をだすけれど…。
ぶわっと美佐の巻き毛が私の顔にあたる。
巻いてたんだ髪。
「聞いてんの芽瑠ッ!」
「聞いてるよ」
ペンダントは毎日毎日渡してと叶に頼んでもまったくくれない。
それが1カ月続いたもんだから美佐もお怒り。
彼女なんだから叶に頼むのは美佐の役目なのになぜか私を使う。
「芽瑠~あのペンダントもらったらどうすると思ぅ?」
「わかんない」
「捨てるのぉ」
捨てる?
捨てるためにもらう?
矛盾してる。
「なんで捨てるの?」
「だってあのペンダントを見ると叶くんは愛しい目でそれを見る」
「うん」
「さっきの休み時間だってあれを見つめててぇ…。」
「うん」
「美佐以外に渡したい人がいるからぁだからあれちぎって捨てる」
なんと悪趣味…。
美佐の口元はニッと上につり上がって悪魔だ…そう思った。
クラブでも叶はペンダントはギュッと握っていたし。
誰に渡すんだろ。
「あっ叶くん!!」
叶を引き締まった体に美佐が飛びつく。
最近ではもう叶がこっちに来るがことが多くなった。
たぶん美佐の所為だけど。
「ちゅ~してぇ」
軽く唇を重ねてくれた叶に自分からもキスをする美佐。
「叶くんと美佐お似合いだよねぇ?」
「だよね――!」
そんなこという奴はこの2人以外誰もいない。
「叶くん~」
叶の顔を見ない美佐はペンダントに視線がある。
美佐は捨てたいから絶対に手に入れないと。
「叶くん…いつ抱いてくれるのぉ?」
「……」
「前はお預けくらちゃったし…」
「……」
「いつも拒否るのはなんでぇ?」
本当に叶は美佐とヤッテないんだ…。
そもそも1カ月経って何もないことがおかしいけど…。
小言でこう言った本当に聞こえないほどの声で…。
「芽瑠とはヤってるのになんで美佐はダメなのぉ?」と
私は非常に耳がいいらしく聞こえてしまった。
「その話は止めろ」
叶の低い声に美佐は口ごもる。
「叶…美佐は彼女でしょ?そういう行為を求めんのは当然じゃない?」
「芽瑠…仕事以外無理」
「仕事って何、何?叶くん」
「何でもないよ」
「美佐には関係ない」
「彼女だよ!!なんでぇ」
ホストなんてバレたら、やばいもんね。
悠馬もやってることがバレたら…大変なことになる。
美佐はそこら中に噂をばら撒くから危険。
「ごめん…教えられない」
「わかったぁ変なこと聞いてごめん」
叶が立ち上がって私の耳元で小さい声で言った
「絶対誰にも言わないで」
なら交換条件ね、利益のないことは聞かない。
私はそういう奴だから。
それが一番自分がわかってることだから。
卑怯な交換条件を要求するよ。
「ペンダントくれたらね」
叶はため息をついて首からペンダントを取る。
「はい。でも芽瑠がほしいの?」
「ありえないから。美佐にあげるだけだから」
卑怯でしょ叶、私のことなんか心配そうにみる価値ないんだよ。
「芽瑠はこのペンダント意味わかってない」
「は?」
「わかってない」
意味って何?
また綺麗ごと言う気?
ウンザリだよ叶。
叶が今私のそばにいるだけで、無償にイラつく。
叶は制服を着ていても何か違う。輝いてる。それに対して私なんか制服はボロボロ。
だって毎日毎日制服のまま乱暴に脱がされるからリボンは取れてるし。
私はそれをファッションだと思って毎日通ってる。
でもこんな制服と叶の制服が並ぶと私の制服はより一層ボロく感じる。
「意味って何?」
「このペンダントが誰のために買ったのか、意味はもう1つあるけど」
は?
意味わかんないけど?叶。