「どういうことだよ叶」




俺を追っかけて教室に入ってきた悠馬。




そうするしかなかったんだよ…。




「悠馬…芽瑠は頼むよ」

「は?俺に頼むってそれでいいのかよ」




良くないよ。




頼みたくもない。俺が面倒みたい。




俺、芽瑠から何も聞いてなかった。




それが悔しい。




「叶と美佐なんて合わない」

「知ってるよ」

「美佐って奴はな―…なんでもない」




俺、上手くやってけるかな?



もう芽瑠が俺を呼び出したりしないし話しかけない。




嫌だな―。


あれから一週間くらいたった。




でも彼女の美佐にはまだペンダントはあげてない。




いつも首からぶら下げている。




「ペンダントほしいなぁ」

「ダメ無理」

「叶くん冷たいよぉ―」




そう彼女になった美佐に対して俺は優しくしたくない。




というかできなかった。



そう簡単にできるものじゃない。




「ついたよ教室」

「ありがとぉ叶くん」




空気が不味く感じる。




最悪…。


俺と美佐の噂はみんなの大きい話題になっていた。




「美佐と叶?あわないよね~」

「しかも急、告白したのはあの無口な叶だって~」

「そうそう」



勝手に言ってろよ。




俺はそんなこと聞きたくない。




告白したくてしたんじゃない。




でも次の言葉は聞き流せられなかった。




「芽瑠って子今までに以上に酷いらしいよ?」




何がだよ?




俺は立ち止まり耳を傾けた。



「だよね――…だって夜遊んでるし」

「それに美佐になんか言われてたよね」




何だよそれ。




俺が美佐と付き合っても芽瑠は変わらない?



芽瑠side




叶と美佐が付き合って一週間が経った。




校門前でのキス。




帰りには貝殻繋ぎ。




そんな私には味わえないメルヘンな世界。




美佐は顔と体目当て。




勿論叶には一切言わない約束で私はそれを守ってる。




「芽瑠――叶から今日もキスされたぁ!!」




そう、美佐からではなく叶からキスしてる。



なぜかそれを目撃したとき何が痛い。




「あっそうだ芽瑠今日さ金稼いできてよ」




最近は命令だけど男じゃなくて金になった。




可愛くみられたいために欠かせない美容用品。




軽く10000万は1日使うようになった芽瑠は金が金欠。



そのために私は稼がなくちゃならない。




なんでよ…叶と付き合ったのにまだ私は使われる。




「芽瑠頑張れー」

「ヤリマンだからいいでしょお」




前より男と交わることが多くなった。




ヤればお金は高額金をくれる。美佐はそのお金を全部自分の美容用品に使う。




「最近綺麗になったねぇ」

「うんうん!!思う――」

「そうかなぁ」




全然?




対して変わらないと思うけど?




自意識過剰な美佐は手鏡を取り出してにた~って笑ってる。




人生狂わされてる私はそんな風には笑えない。




今日もまた何人かの人と関係を持つ。



ケータイ電話から鳴るのは誘いの電話しかない。




私は誰にも愛されていない。



体だけなんてイヤ。




「また電話~芽瑠」




最近やとらと多い。




何なの?




「稼いできてよね。じゃないと…」

「わかってる」




わかってる。




私の運命は決まっていた、命令されて従うままになる。




「叶迎いにきてるよ」

「わかったぁ」




変な声。気持ち悪い。




「キスしてぇ」



なんの抵抗もなく叶は美佐の唇に自分の唇を重ねた。




その行為を見ていた私はどうすることもなく。




でもただ一滴涙が出ていた。



「じゃあねぇ」




美佐に見られなくて良かった。



叶side



キスなんてしたくない。




重ねた瞬間いつも吐きそうになる。




俺が誰とキスしようが芽瑠は関係ないか。




それがかなしい。



「叶くん何考えてるのぉ」

「別に?」

「付き合ってから一週間も立ってるのに冷たいよぉ!!」




扱い方不明。




芽瑠のこと気になる…。




さっきの噂だって何が酷くなったんだろう?




「芽瑠元気してる?」

「また芽瑠?」

「ごめん…」

「元気だよぉ?」

「芽瑠に変わったこととかは?」

「なっないよぉ!」




芽瑠……今何してる?




ペンダントをギュッと握りしめた。




「ねえ美佐綺麗なったぁ?」



なんか体に付けてるもの多すぎる。



最近香水の匂いがキツい。




綺麗になったというより前よりもケバくなった。




どっからそんな金が出る?




「うん。綺麗」

「ありがとぉ!!」




嘘だけど…。




上手くやらなきゃいけないし…。




「自分で買うの?そういうのって」

「う…うん」



目を合わせようとしない。




何?




「それより弁当作ってきたのぉ」



いらない一人で作れるし美佐のなんか食べたくない。




あ~んと俺の方に卵焼きを押し込んだ。




う…まずい




「おいしぃ?」

「あ――…うん」




早く終わらないかな…。