美佐の言葉なんか頭に入ってこない。




芽瑠のことで頭がいっぱいで仕方ない。




「叶くん明日もデートしようねぇ芽瑠も来るし」

「あ――…うん」

「芽瑠のこと好き?」

「ううん…」




本当は今すぐ芽瑠を探して探して俺に振り向いてほしい。



「じゃあね」

「うん」




美佐が帰ったあと、家に帰る途中芽瑠たちが見えた。




「芽瑠さぁ叶と芽瑠が付き合ったらどうする?」

「平和になるかな」




俺にとって芽瑠は大事な存在だけど芽瑠にとって俺はどうでもいいのかよ…。




ペンダント渡そうと思ったのに…渡せなかった。




叶side




「平和になるかな」




やっぱり芽瑠の言った言葉まだ今日になっても覚えてる。




それに渡せなかったペンダント持ってくる俺はバカ。




渡せないのに…。




「これ誰の?もしかして芽瑠のとか?」

「ああ―…うん」

「渡さないのかよ?」

「渡せなかったんだよ…」




「平和になるかもね」そんなこと言われて渡せるわけない。




「ペンダントそれすっごいデザインだな――」

「うん芽瑠のイメージに合わせたし」

「すごいな」




このペンダント…持ってこなければ良かった。




昼休みになって美佐が俺の教室に遊びに来た。




来なくていいのに。




「叶くん~ペンダントほしいなぁ誰かにあげるの―?」

「あ―そんな感じかな」

「美佐ぁそれほしい」



いくら俺がダメって言ってもうるるんとした目でねだる美佐。




しつこい…。




「これはダメ」




悠馬もそんな俺らのやりとりを苦笑いで見る。




助けてろよ…。



「あっ芽瑠は?」

「また芽瑠~叶くん芽瑠ばっかぁ」




だって芽瑠が気になる。




それに普通に戻りたいし。




「芽瑠はぁ~日直」

「そっか」

「それよりペンダント~」




だから無理だって。



もう我慢できなかった俺は屋上に来た。




――芽瑠?




「芽瑠っ」

「何?何しに来たのセフレくん」




そんなことをいう芽瑠は冷たく笑った。




「日直じゃなかった?」

「さぼった」

「そっか」




芽瑠と話せてる。この前までは無理だったけど。




でもセフレって…二度とやりたくない。




「で?何の用?」

「気分転換しにきただけ」

「あっそ早く美佐のところ行ってあげて」




そんなこというくせに、それなのに切なく俺を見るんだ…。












「俺言わなかった気分転換って」




寝転がると芽瑠が胸板に足を乗せてきた。




何?




「ウザい…迷惑美佐と宜しくやってよね」

「平和になるから?」




俺の唐突な質問は芽瑠の目を見開かせた。




「聞いてたワケ?」

「聞こえただけ」

「そうだね平和になる」




俺の存在が邪魔だから?




芽瑠にとって俺と美佐が着きあうことで平和になる?




「平和になるのはなんで…?」



俺がしつこいのか胸痛を踏むのにグッと力が入ったのがわかった。




「叶にはわからないよ」

「なんで俺に話してくれないの?」




そう言うと芽瑠は黙って踏みつけるのをやめた。




「叶はみんなにちやほやされる」

「うん…」

「そんな叶に言ったって無意味だから」




頼りない俺。




俺の存在自体が芽瑠にはウザいのかもしれない。




最悪だ…。









「芽瑠も人気だよ」

「どこがお世辞?」




芽瑠は容姿完璧で男によく噂を聞く。




それを聞くたび俺は壁を殴りそうになるけど。




「本当だよ」

「あっそ」




芽瑠は何もわかってない。




「そろそろ戻ってくれない?」

「わかった」



芽瑠side




「平和になるから?」




叶が屋上から追い出したあとその言葉を思い出していた。




平和になる?




そんなわけないよ。




日直さぼってたっけ行かなきゃね。




教室に戻ると女王が機嫌悪い顔で私を睨んでお出迎え。




何ごと?




また叶なんか余計なことしたの





「叶くんペンダントくれなかった―」




ペンダント?