憎しみを込めながら中に入ってくる叶




泣きそうになったけど、我慢した。




「本当に初めてじゃないんだね……」




今日から私たちはセフレの関係。




ただのピュアな友達じゃない。




心を打ち解け会う友達じゃない。




お互いの気持ちは中途半端なままなのに、




体の付き合いからなんておかしいよ。




「芽瑠のあの涙は芝居じゃないよ」




ことが終わったあと水を差し出す叶。




もう目も合わせてくれない。



あっそっかピュア友達じゃないからか。




「はは、芝居だってまたよろしくね」

「俺は抱きたくなかった」

「でも抱いたでしょ。私たちはフレンドじゃない、セフレ」




自分にいい聞かせるように……




辛いと刻まないように何度もいい聞かせた。




「そう……だな」




こちらに目線を注がれたときズキっと心が痛くなった。




「美佐――?もう入ってきていいよ?」




叶のことをもう……友達じゃないんだ。




叶の目線があまりにも切なくて見てられなかった。




「美佐もほら抱いてもらえば?」

「芽瑠……私………」




そう悪魔でも美佐が命令して叶とヤるそんなのはバレてはいけない。




んでもさっき泣いたとき、いやついさっきも



「美佐のために」って言ったし………




もう私が性欲の女だと演じればいっか…




「美佐は私と違うからまだ抱いちゃダメだよ?」

「どういう意味?」

「体目あてじゃないから」




美佐にはまだ抱いてもらわせない。




体目あてがバレてしまう。



美佐はそんな私の策がわかり、




「体は付きあってからだよねぇ」

「……………」

「じゃ私たちは帰るから」




着ていた服を着て、美佐とホテルを出た。




今日は最悪だ。




叶とヤってしまった。




抵抗は未遂に終わり……叶は簡単に私を抱いた……




これから……美佐がお気に入りとする高級家具いや王様をハッピーエンドになるようにしなければいけない。




「美佐、叶くんのこと本当に好きだから芽瑠よろしくね?」




………女王がみなの前に君臨したときは王を自分のものにしたいとき。




芽瑠side




女王たちは叶がお気に入りで好きだけど特に執着心見せるのが美佐……




「美佐ぁ偽りでもいいからぁ」

「うん」

「叶くんと付き合いたいの」



体目的でしょ?顔で選んだでしょ、とは言えず




相槌をしておくだけ。




「叶くんとヤれて良かったね」




嫌みたらしく言う美佐に殴ってしまいそうになったけど制御した。




―――もう友達じゃない。




叶も冷たい目で見るかもしれない……。




いいじゃん美佐、好きな人とヤれるチャンスあって。




私なんか……。




「芽瑠ぅ偽りでもいいから恋人になりたいのぉ」

「うん」

「叶くんと付き合えなかったらわかってる?」

「………………」

「芽瑠が私の願いを叶えて、退屈させない限りここに居させてあげてるんだからね?」



要するに今回は恋人のルートにいけるシナリオを私が作ること。




でもどうやって?




美佐は悪魔の微笑みを私に見せつけて言った。




「美佐がいい子なのを叶くんに伝えて、あと私がなんとかするからぁ」




じゃあねっと美佐が教室を出る。




叶と話をするつもりかな。




叶side




芽瑠を抱いてしまった…なんでやめなかった?




俺……俺は芽瑠をたすけられなかった。




もう簡単に手が出ていた。




ぼうッと座って感傷的になってる最中ケバい子が俺の前に立った。




「美佐なんだけどぉ――直球だけどいい?」

「うん」

「芽瑠のこと好きぃ?」

「別に?」

「良かったぁ」




なんでそんなこと聞くの?好きに決まってる。




美佐って子は注意人物。




「今日はぁ美佐とどっか出掛けてほしい」




は?無理無理。




芽瑠以外受け付けないし…。



ってまだ言える立場じゃない。それに芽瑠はもう俺はセフレ扱い。




「芽瑠も行くの?」

「行くよぉ」

「んじゃあ行くよ」




芽瑠がどんな顔で俺に会うんだろう。




気まづい。




「おい…叶…叶聞いてんのかよ」




悠馬が俺を呼んでることに気づかなかった。




重症なのかも俺。




「悠馬…」

「叶さ抱いたのかよ…」

「うん…あの時どうかしてた」



俺はあの時の自分を思い出して胸が痛んだ。




芽瑠の気持ちがわからない。




「そんで美佐ってこといくのかよ」

「芽瑠が来るらしいから行くよ」

「なんか仕事の叶さんとは大違いですねー」

「仕方ないだろ」




芽瑠が大切で好きだから、




じゃあ、昨日の説明はどうやってする?




自問しておいて…自答ができない俺。




……悠馬?




悠馬は自分の教室に戻ったのかあたりを見回しても…




いない、誰もいない。




俺寝てた?




「叶くーん。一緒にご飯食べよう?」

「ああ…うん」




スキップしながら俺の前にきた美佐って奴…




苦手…。




積極的に来られるの好きじゃないって。




俺は黙って鞄から弁当を取り出すと美佐はそれを覗きこむ。




「作ってるのぉ?」

「ああ、親いないから」

「そうなんだ。明日から私が作ってきてあげるぅ」




けっこうだって。俺は作るの苦にならないしね。




「親いなくて寂しくないの?」

「慣れたよ」




親がいなくて金が足らないからホストで稼いでる。




まだ芽瑠には言いたくないな。




「ところでなんで叶くん。電話に出てくれないの?」

「……………」

「叶くん……なんで芽瑠以外の女の子と話さないのぉ?話してくれるけど目が優しくない」




は?意味わかんないだろ。




女は仕事で疲れるし、それに芽瑠を苦しめてる奴なんかに優しい目なんかできない。




「芽瑠をあんまり無理させないでね?」

「どういう意味ぃ……?」




白々しくいい放つ美佐。




でも簡単に話を変えられた。



「あっ芽瑠」




芽瑠がタイミングが悪いのか良いのか美佐の近くに座った。




どういう顔すればいい?