辛いのはいつもで顔に出てないと思ったけど…。




「どこが?叶バカじゃない?」




シレッと言っても叶は顔1つ変えず……




「芽瑠さ……いいかげ「うるさい叶!語るな」




語るな家具が……。




叶は私が弱いことを知ってる。




今涙を堪えていることも、全部知ってる。




見破られそうで怖かった。




「うるさいよ……叶」

「ごめん、勘違いか」




叶は椅子から立ち上がって私の耳元で「泣いてるよその顔」と言った。



何か言うんだと思ってるうちに叶はどこかに行ってしまった……。





泣いてるわけないでしょ?




本当は泣きたくてしょうがないけど泣いたら終わりだよ。



「芽瑠ーもう授業だよぉ?」



女王たちの言葉に返事して授業受けるため席に戻った。




スッと机に紙が投げられた。



先生に見つからないように、紙を広げる。




―――――――
♯せんせーウザイ



――――――




こんだけのやりとりをいつも授業中に行っている。




ウザくなくても合わせなくちゃいけない。




10通回したらチャイム鳴った。




私は叶との約束を思い出し教室に行った。




「来てくれたんだ」




そういいながら、鞄に筆箱や教科書を詰め込んでる。




「行こっか」

「うん」




叶の連れてきたいところ、わらかない。




もうこの道とかしらない。




着いたのは…………




「驚いた?俺ホストだから」


芽瑠side




叶がホスト?




なんで私を連れてくるの?




「俺を知ってほしいから」




手を引かれて店内に入れられた。




「なんで私を?」

「芽瑠いつもさケバい子たちのそばで辛そうだったから」



出されたのはお茶……




なんか入ってるのかと確認をしてると




「何も入ってないよ」

「…………………」

「似合う?スーツ」

「似合ってる」




お互いの目が絡むと私は反らしていいかわからなかった。



気まずさに死にそうになったとき……




「叶さん指名ですよ?」

「ああ、わかった」




叶と入れ替わるように叶を呼び出した人が私の正面に座った。



正面にいる男性が私を不思議そうに見る。




「貴方が叶さんが言ってた……。」




は?なに言ってるの?




「あっ俺の名前は棗です」

「ふーん……」

「貴方の名前は?」

「芽瑠……です」




なんかこの人、多分私より年上な気がする。




仕草が大人だ……。




なのになんで私や叶に敬語なワケ?




「俺、同い年ですよ?」




私の考えてることは棗にわかっていた。




……はずい




「なんで敬語なワケ?」

「それが店内の決まりですから」

「そうなんだ」




「叶さん人気なんですよ?」




煙草を取りだし火をつける棗…そんな姿はやっぱり同い年とは思えなかった。




「そんなに?」

「No.1ですからね」

「へえ……」




こんなに男と普通に会話するのは久しぶり




たいてい呼び出ししかしないしね。




「叶さんのことどう思ってるんですか?」

「どうって?」

「恋愛を通して好きですか?」

「微妙」




「そうなんですか」と相槌をすると煙草の火を地面に捨てた。




「芽瑠さんってなんか守ってあげたくなりますよ」



視線を合わすとニコっとする棗。




守る?弱くないから。




「初めて言われた」

「そうですか、普通男で芽瑠さんを見たら必ず思いますよ」




男は抱いたら終わり、守りたいとか何年ぶりだろ。




「棗、芽瑠に虜になりすぎ」



叶は休みらしく棗をなぜか叱ってる。




棗は「芽瑠さん叶さんをよろしく」と私に言って仕事に戻った。




「芽瑠も普通にしすぎ」




私もなぜか怒られた。




「他のホストの仲間も芽瑠見てた」




眉を寄せて私を見つめる叶。



全然気づかないから、そんなの。



「――で?ここに来たけど何の用なの?」

「だからさ、たまにはお前にも休暇か「いらないから」




叶がすべていい終わる前に私が言葉を渡った。




休暇とかそんな甘いのに慣れたら毎日が苦痛でしかたなくなる。




それにもう叶とは……




女王たちに呼び出されたときに呼ぶだけだし……




個人的にプライベートまで関わったらすぐ女王に見つかってしまう……。




そんなのはごめん…。




「叶は私に関わらなくていい」

「なんで?俺は芽瑠が気になる……」




叶はなぜか頬を赤く染めて私を見つめる。




――――気になる?




女王たちに遊ばれてる私が?それ皮肉なワケ?




「芽瑠いつも忙しいって何が忙しい?」




優しく微笑んで返答を待つ叶にいつも通りに答えを出せない…。



このままだと弱音を吐いてしまう。



明日はまた殴られる運命なんだとか……




毎日が苦痛で女王たちに遊ばれてるんだとか




一言で「助けて」って言える女の子だったら苦労しないものを……




「別に……。」




やっぱり怖くてなぜか頼るのが弱いみたいで。




「自分を作ってない?」

「――え?」

「本当の芽瑠はどこ?」




語るな語るな家具……。




家具のくせに、女王のお気に入りだから私の気持ちなんかわかるもんかッ!




ホストクラブから飛び出す。