そのあとしばらく回って、飾られたクリスマスツリーの下まで来た。
「……明日はクリスマスイヴだね」
この年になってわくわくするものじゃないけれど、やっぱり嬉しい。
「……そう、ですね」
それなのに、ユカリさんは浮かない顔をしていた。
「どうしたの?」
その顔を見ると、心配でその場にいられなくなる。
「いえ、何でもありません……」
うつむき加減の返答は、歯切れが悪かった。
気を紛らわすために時計を確認する。
十二時過ぎ。
「もうお昼の時間だね。何か買ってこようか」
「……そうですね。でもかなり混んでいると思いますよ」
「根性で買ってくるよ」
「そうですか?お願いします。……お金は」
ユカリさんがコートのポケットを探る。
「別にいいよ。僕が出すから」
「その……あとでちゃんと払いますから」
別にいいんだけどなあ。
ユカリさんはきっちりしている。
まるで人がゴミのようだ……と言いたくなるようなところに特攻をかける。
必死こいて買ってきた二つのホットドック。
ユカリさんに手渡すと、お金を渡してくれた。
「うわっ、……熱いです」
「そりゃあ、ホットドックなのに冷たかったら文句を言えるよ」
「その時はまたあの人ごみを掻き分けないといけませんけどね」
それは嫌だ。