それからはいつも通りの部活。
あの中じゃ大した話もできなくなっているので、僕達は帰りに話すことにする。
朝よりは人が少ないバスの中。
土曜日の遊園地の話題に花を咲かせる。
「遊園地って言っても遠出じゃなくて、サーキットの遊園地ですけど、いいですか?」
ここら辺で一番近い遊園地はサーキットに併設されたものである。
たまに規模の大きい大会が行われるので、タイミングを誤ると人がごった返すような場所。
ここらへんの小学校じゃお馴染みだ。
「でもどうしてサーキットなのかな」
あんまり遠いと行くまでに疲れてしまうから、くらいの推測はできるけど。
「それは……やっぱり、勝手がわかっていた方がいいですから」
それに、と彼女は付け加える。
「ずっと……その……」
彼女は言えずにいる。
僕は彼女を待っている。
彼女の目を、見つめるようにして。
「その……大切な人と、一緒に行きたいって思っていましたから」
大切な人。
それが、僕以外に誰がいる。
彼女はうつむいたまま、僕の返事を待っている。
……彼女もきっと恋愛に関しては奥手なのだろう。
それでも彼女は勇気を出して言ったのだから、僕は答えなくちゃいけない。
「……ありがとう」
雪城さんの気持ちが嬉しい。
「土曜日、楽しもうね。雪城さん」