雪城さんが部活をする時間も長くなり、反対に日が沈むのはどんどん短くなっている。
そのため雪城さんを僕が毎日送っている。
……というのは口実で、本当は僕は雪城さんと長くいたいだけなのかもしれない。
「もう帰る頃合だね」
すでに部活は解散の時間を過ぎ、後の人間は好き勝手残っているだけである。
「はい」
雪城さんはすでにパソコンを終了させていた。
もう基本的なことは教える必要がない。
まあ技術的なことはまだまだだけれど。
「帰りましょう」
「ふう、寒い寒い」
日が沈んでからの気温は本当に低い。
もう雪も降ってしまうんじゃないだろうか。
「あ、見てください。雪ですよっ」
……当たった。
今日の天気予報は寒くなるって言っていた。
疑っていたわけじゃないけど、雪が降るなんて。
「……積もるね」
「さすがにそれはないと思いますよ」
わかっていたけど、積もるといいなって思った。
「でも、積もるといいですよね」
お、気があった。
「いいね」
僕たちは二人、深い紺の空を見上げていた。