雪城さんが入部して一週間が経った。



「――藤沢さん、これはどうするんですか?」

僕は彼女と彼女のパソコンを見ている。

「これはメニューバーの項目の中から……」

まだ拙いが、たった一週間の中での向上はめざましいものがある。

集中力があるし、記憶力もある。
彼女だったら独学でもやっていけるだろう。

それでも僕が教えているのは、きっと彼女がとても熱心だからだろう。

「雪城さんってとても初めてとは思えないですよね」

一年生の森は自分の思ったことを正直に言う性格だ。

「いえ……そんなことは」

雪城さんは謙遜するけど、もしかしたら才能があるのかもしれない。

――才能。

才能って一体なんだろう。

彼女を見ているとそう思ってしまう。

才能は絶対じゃない。
彼女は裏切られてしまった。

期待を、運命に。

……彼女にとっては彼女自身にだろうか。

それでも彼女は彼女自身をあきらめようとはしなかった。

今ここにいることがその証明。

だから僕は。

「僕もそう思うよ」

そう言うんだ。

……雪城さんは赤面した。