「キミのことが、知りたい」
キミが僕に技術を学びたいと思ったように。
僕はキミに学びたい。
「雪城さん……」
霞んでよく見えなかったけど、雪城さんの顔を見た。
彼女は、
「……私の話、聞いてくれますか?」
――安心して、笑っていた。
それから空き教室に移って、ぐしゃぐしゃになった僕の顔を整えている間、雪城さんは待っていてくれていた。
ありがとう、としか言いようがない。
雪城さんは落ち着いていた。
やがて、雪城さんは重たい口を開いた。
「別に、誰でもよかったんです。でも人を選んでしまって……」
それは彼女の理由。
「どうして私が飛び降りようとしたのか。そんな愚痴のようなものを」
客観的視点からは真実が見えないと僕は思う。
人の思いが錯綜して、世界が編み出されるのだから。