すると、二人は呆れている風だった。

「何さ……」

「あなた、知らないの?天才弓道少女の顛末を」

一体、何?

「かなり噂になっているのだが……彼女の右目は失明しかかっている。それが彼女の弓道の選手生命を絶ったんだ」

息を呑む。

あれは、ちょっとした怪我じゃなかったんだ。

「彼女自身の病気から来たものだから彼女も落ち込んでいるのだろう。今までの人生を弓道に捧げ、しかしその弓道は続けられなくなったんだ」



……僕はそこで気付く。

『雪城さんは何部だったの?』

なんて軽はずみな質問をしてしまったんだろう。

『へえ……知らなかった。すごいね』

なんて軽はずみなことを言ってしまったんだろう。

『知らなかった』だなんて。

彼女の努力を……知らなかったなんて。

培ったものが、認められなかったなんて。





僕は、謝りたい。

彼女の道を『知らなかった』なんて言って、彼女の追い求めてきたものを汚してしまったことを。

気がついた時にはすでに、僕は走り出していた。





謝るんだ。

――噂くらい、聞いていたはずだ。

彼女は僕のことを褒めてくれた。

――彼女の気持ちを察することができたはずだ。

彼女は……それでも、僕のことを拒絶しなかった。

――謝って、それだけじゃダメなんだ。

僕は。