そこは、やたら自然の多い町だった。
心霊スポット、という事で宿泊に来た、時雨の家族。

「やっぱり、雰囲気違うねぇ」

宿を見て、思わず本音が口からこぼれる時雨母。

「チョット、和風すぎない?」
「へーきよ、何か出た方が楽しいでしょ」

ルンルン気分の母親に対して、時雨はあまり乗り気ではなかった。

それもそのハズ、幽霊やら都市伝説やらは時雨の一番興味のないことだった。