じゃあ、なんでそんなに悲しそうなの?
これが、君なりの優しさだったんだろう。
あたしの男嫌いを必死になって克服させようと…。
それでも…
あたしの闇はあまりにも深すぎたんだ。
そして、今日は待ちに待った体育祭。
皆、朝から気合いが入っている。
『ただいまより、開会式を始めます。生徒の皆さんは、至急入場門前に集合して下さい。』
「ちひろ♪何やってんの?行くよ~」
やたらテンションが高い実咲。
なんたって、行事大好きなヤツだから…。
「あ…うん。」
『では、皆さん。頑張って一日を過ごしましょう。』
校長先生の言葉も終わりいよいよ競技開始。
「どうしたの?ちひろ元気ないじゃん。」
「そう?」
元気がないのは、この間の梅崎君の悲しそうな顔が忘れられないから…。
でも、実咲には悟られたくない。
「悩みがあんならいつでも相談のるよ?」
『ただいまより、借り物競走を行います。選手のみなさんは…―。』
「あ…私行かなきゃ。ちひろ応援宜しく♪」
「うん。実咲頑張って。」
そうだよね。
今は、気にせずに体育祭を頑張ろ。
時は過ぎ、いよいよ最終競技。
対抗リレーの時間となった。
「皆、今日は絶対優勝だからね。」
いつになく気合いが入ってる紗羅先輩。
「紗羅~気合い入ってるね~」
亜沙先輩が、紗羅先輩に絡んできた。
「当たり前。亜沙に優勝は渡さないから…」
怖いよ紗羅先輩。
「紗羅怖いよ~でも…優勝は、あたしたちのチームが頂くから…」
怖いって言ってる亜沙先輩の方が一番怖いってことがわかった。
「わぁ。ちーちゃんじゃん♪それに華菜ちゃんも…」
「何々?メンバー見て言葉もでないか?」
「何言ってんの~余裕♪」
あたしが、今日学習したこと。
試合前には、絶対あの人たちには絡んではいけないって言うこと…。
「ちひろ先輩。今日は頑張りましょうね♪」
「わぁー。かなこ。超可愛い。」
「いやいや~。」
よし。頑張ろ。
「春瀬先輩。俺信じてますから…。」
「あ…うん。」
一瞬だけすごいドキッとした。
信じてるか…。
まさか、あたしが言われるなんて…ね。
『対抗リレーに出場の選手の皆さんは、至急入場門前に集合下さい』
「あっ行かなきゃ。ま、互いに最後の体育祭なんだし頑張ろ。」
「どっちのチームが勝っても恨みっこなし!」
そう言うと、紗羅先輩と亜沙先輩は笑顔で入場門へと歩いて行った。
「部長たちの友情カッコイイです。私もあんな風になりたいです!」
「だね。かなこも2年後そうなってるといいよね」
「はい」
『最終競技対抗リレーの始まりです。選手の皆さんは入場して下さい。』
対抗リレーに決まってから、いろいろあったなぁ~。
あたしには、とてつもなく過酷な練習だったけど…。
『位置について』
「かなこ頑張って。」
「中川ファイト。」
『ヨ~イ…ドン』
いよいよ競技が始まった。
かなこは速いから、
現在のあたしたち
赤組は一位だ。
続いて、亜沙先輩のいる青組。
白組となっている。
第3走者の先輩対決。
「部長。頑張ってください。」
「任しときな」
真剣な顔の紗羅先輩に対して、余裕と笑顔の亜沙先輩。
なにかあるんだろうか…。
『さて、第3走者にバトルが渡りました。』
頑張って紗羅先輩。
あたしの応援が届かなかったのか、紗羅先輩は亜沙先輩に抜かれてしまった。
確かに、亜沙先輩の方が部長よりも速い。
もしかして、
亜沙先輩が笑顔だったのは、
この事がわかっていたんだ。
亜沙先輩腹黒いよ~。