私のかわいい後輩君


    -放課後-

放課後になってしまった。
梅崎君今日来るかな?
今日の朝、ひどいこと言ったし…。


「春瀬先輩こんにちは。」


振り返るとそこには、元気いっぱいの梅崎がいた。


「あの…梅崎君……今日は…」


「春瀬先輩。練習しましょうよ~」


「え…あ。う…うん…。」


淡々と練習が進み、あっという間に帰宅時間になった。


「じゃー。もう遅いから、今日の練習はこれで終わり!」



さーてと!遅いし帰るかぁー。


「春瀬先輩。」


「何?」


「暗いですから、俺送りますよ…。迷惑でなければ…。」


「いやいいよ。一人で帰れるし…。」


そう…。



一人で帰れる…。


「ちひろ。暗いから、梅崎君に送って貰いな?」


「紗羅先輩。でも…。」


男って存在の人とは、誰とでも一緒は嫌だ。

それに…

また、梅崎君を傷つけてしまう…。


「先輩命令!」


こんな時に~?


「う゛。わ…わかりました…。」


「先輩行きましょ?」


「うん。」






その時、かなこがあたしと梅崎君のことを切なそうに見ていたなんて思ってもみなかった。


紗羅先輩に無理矢理言われて梅崎君と一緒に帰らされてるけど…。


会話がなく、静まりかえっている。


静まりかえった雰囲気を変えたのは、ほかでもないあたしだった。


「梅崎君…今日はさ…。」

「なんですか?」


「あの…ごめんなさい。」


「なにがですか?」



なにがって…。


「近づかないでってさけんで傷つけた。」


「あーいいですよ。気にしてませんから…。」


気にしてない…か…。




じゃあ、なんでそんなに悲しそうなの?





これが、君なりの優しさだったんだろう。





あたしの男嫌いを必死になって克服させようと…。












それでも…











あたしの闇はあまりにも深すぎたんだ。



そして、今日は待ちに待った体育祭。

皆、朝から気合いが入っている。




『ただいまより、開会式を始めます。生徒の皆さんは、至急入場門前に集合して下さい。』



「ちひろ♪何やってんの?行くよ~」


やたらテンションが高い実咲。
なんたって、行事大好きなヤツだから…。


「あ…うん。」


『では、皆さん。頑張って一日を過ごしましょう。』


校長先生の言葉も終わりいよいよ競技開始。


「どうしたの?ちひろ元気ないじゃん。」


「そう?」


元気がないのは、この間の梅崎君の悲しそうな顔が忘れられないから…。

でも、実咲には悟られたくない。


「悩みがあんならいつでも相談のるよ?」




『ただいまより、借り物競走を行います。選手のみなさんは…―。』




「あ…私行かなきゃ。ちひろ応援宜しく♪」


「うん。実咲頑張って。」


そうだよね。
今は、気にせずに体育祭を頑張ろ。


時は過ぎ、いよいよ最終競技。

対抗リレーの時間となった。


「皆、今日は絶対優勝だからね。」


いつになく気合いが入ってる紗羅先輩。


「紗羅~気合い入ってるね~」

亜沙先輩が、紗羅先輩に絡んできた。


「当たり前。亜沙に優勝は渡さないから…」

怖いよ紗羅先輩。


「紗羅怖いよ~でも…優勝は、あたしたちのチームが頂くから…」


怖いって言ってる亜沙先輩の方が一番怖いってことがわかった。


「わぁ。ちーちゃんじゃん♪それに華菜ちゃんも…」

「何々?メンバー見て言葉もでないか?」


「何言ってんの~余裕♪」


あたしが、今日学習したこと。

試合前には、絶対あの人たちには絡んではいけないって言うこと…。


「ちひろ先輩。今日は頑張りましょうね♪」


「わぁー。かなこ。超可愛い。」


「いやいや~。」


よし。頑張ろ。


「春瀬先輩。俺信じてますから…。」


「あ…うん。」


一瞬だけすごいドキッとした。

信じてるか…。

まさか、あたしが言われるなんて…ね。


『対抗リレーに出場の選手の皆さんは、至急入場門前に集合下さい』


「あっ行かなきゃ。ま、互いに最後の体育祭なんだし頑張ろ。」


「どっちのチームが勝っても恨みっこなし!」

そう言うと、紗羅先輩と亜沙先輩は笑顔で入場門へと歩いて行った。


「部長たちの友情カッコイイです。私もあんな風になりたいです!」


「だね。かなこも2年後そうなってるといいよね」


「はい」