よし。
思い切って声かけてみよう。
「ねぇ。どうしたの?」
「あ。学校に行く道がわかん…な…く…」
あれ…?
どうしたんだろ?
もしかして、あたしの顔に…。
「ん?あたしの顔になにかついてる?」
「いや…その…なんでもない…です。」
なんだ。
顔がおかしいとかじゃなくてよかった。
「もしよかったら、あたしと一緒にいく?」
「……。」
ん?
反応がない…
もしかして迷惑だった…
「いいんですか?」
「いいよ。だって、困ってる人ほっとけるわけないじゃん。」
「ありがとうございます。」
素直な子だなぁー。
助けてよかったよ。
「あ…あの…」
「何?」
「お名前なんて言うんですか?」
な…名前?
「春瀬ちひろだけど…。君は?」
「あ!聞いときながら、名乗るの忘れてた。俺の名前は、梅崎涼介って言います。」
梅崎涼介君かぁー。
ま、せっかくだから覚えておこう。
「……。」
「……。」
き…気まずい……。
いざ、声かけたはいいもののあたし男嫌いだったんだよなぁー
「はぁー。」
ごめんね後輩君。
あたしが、助けたばっかりに雰囲気が気まずすぎて――。
せっかくの入学式前にモチベーション下げてごめんね。
そんな感じのまま、あたし達は学校に到着した。
「着いたよ。ここが、君の通う高校だよ。」
「はい。ありがとうございました。」
「もう、道に迷わないようにね。じゃ、バイバイ。」
なんか、朝からすごく良いことしたなぁ。
ふふーん。
「ちひろー。早く教室に来ないと、担任来ちゃうよ~。」
「うそー。やばいやばい今から急いで行く。」
あんなに、早く家出たのになぁ。
ま、仕方ない。
まさか。
あんなに男嫌いだった
あたしが、男嫌いを克服するなんてこの時は、思ってもみなかったけどね。
今日は、待ちに待った高校の入学式の日。
春休みが、あんなに長いって思ったの生まれて初めてだよなぁ。
ってウキウキ気分なのに……。
「ヤベー、道に迷った。」
ウキウキ気分だったから、知らない道に来てしまった。
「はぁー。高校って何処にあるんだっけ?」
ヤベー。
本気で道に迷ったらしいなぁ。
「初日から、遅刻はヤベーだろうなぁー。」
本当俺ついてないなぁ。
「ねぇ。どうしたの?」
ついてないと思っていたら救世主あらわれた。
この世界にもまだ、親切な人はいるんだなぁー。
「あ。学校に行く道がわかん…な…く…」
そこには、言葉を失いそうになるくらい
綺麗な顔立ちをしている少女がいた…。
「ん?あたしの顔になにかついてる?」
「いや…その…なんでもない…です。」
ヤベー。
思わず、見とれてしまった…。
「もしよかったら、あたしと一緒にいく?」
「……。」
え?
まじで?いいのかよ。
今日、本当ついてんなぁー。
「いいんですか?」
「いいよ。だって、困ってる人ほっとけるわけないじゃん。」
スゲー。
優しい人じゃん。
「ありがとうございます。」
次会えんのいつかわかんねぇーし。
名前聞いとくかぁー。
「あ…あの…」
「何?」
「お名前なんて言うんですか?」
「春瀬ちひろだけど…。君は?」
「あ!聞いときながら、名乗るの忘れてた。俺の名前は、梅崎涼介って言います。」
春瀬ちひろさんかぁ。
また、いつか逢いたいなぁ。
「……。」
「……。」
き…気まずいじゃねぇーかぁ……。
「はぁー。」
もしかして、俺と行くの本当は嫌だったんじゃ……。