私のかわいい後輩君




現在時刻は、7時過ぎ。



そろそろ、夕ご飯の支度しないといけない。


あたしの両親は、
小さい頃から共働きで…
家にはいつもあたしと
小学4年生の未奈がいる。

今日のメニューは…
思いつかない。


共働きの両親の為にあたしが暇だったら、あたしが夕食作ることになっている。




「未奈~今日の夕食何がいい?」


《ガチャ》


未奈の部屋を開けるとそこには…

くりっとした大きな目。
ふわっとした栗色の髪。

すべての要素をかわいいとしかいいようがない女の子がいた。


「なんでもいいや~。」


「なんでも…ね。…ってもう7時だよ。お家の人心配してんじゃないの?」


「桃ちゃん時間大丈夫なの?」


「さすがに7時は、やばいかも…へへへ。」


桃ちゃんって子は、すごく天然キャラらしいわ…


でも、この顔どっかでみたような…?
どこだっけ?




結局、桃ちゃんはうちで夕ご飯食べてから家の人に迎えにきてもらうことになった。




「わぁー。おいしそう!」


「未奈、桃ちゃん手を洗ってきな?」


「「はーい」」


そういうと二人は仲良く手洗い場に向かった。

今日のメニューは、結局グラタンになった。


このメニューが一番無難だろうと考えたからだ。




「いただきます。」




たわいのない話をし、我が家は久しぶりににぎやかな食卓になった。


「電話貸してくれてありがとうございました。」


「いえいえ。で、誰が迎えに来るの?」


「お兄ちゃんって言ってました。」


お兄ちゃんね~。
できれば、お母さんくらいがよかった。



《ピンポーン》


「あ!桃ちゃんのお兄ちゃんじゃない?」


「未奈みてくる~」


元気よく走って玄関に向かった未奈。

それに続くように桃ちゃん、あたしの順番で前に進んでいく。


「すみません。俺の妹がお世話になったようで…って…春瀬先輩!!」


「あぁー。梅崎君じゃない。もしかして、君の妹ちゃん?」


「はい。でも、びっくりしたなぁー。春瀬先輩の家だったんですね。」



あたしもびっくりです。
まさか、また君に会うなんて…ね。


偶然なのか必然なのかわからない。


体育祭に向けて着々と練習をしているあたし達。


創作ダンスに綱引き。
借り物競走に障害物競走。

そして…
なにより、力をいれている対抗リレー。


今年は、3年生に知ってる先輩がいるんだし。

高校生活最後の記念に優勝を紗羅先輩に捧げてあげたい。


真面目に練習に来て、バトン渡しの練習をして。


男子の先輩に貰い、梅崎君に渡す。


みんなには、さほど大変な内容ではないかもしれない。



が、
男嫌いのあたしにとっては、すごくすごく過酷な練習となってしまった。



「体育祭まで、残り5日悔いが残らないように頑張りましょ。」

という、生徒会長の有り難くもない言葉が終わり
各自練習の時間。


「春瀬先輩。練習しましょうー。」


笑顔で近づく後輩(涼介)をよそに。


「わかったから、近づかないで…」


失礼過ぎるほど叫びだす先輩(ちひろ)。



「先輩?」


「あ…気分悪くしてごめんね。」


「い…いえいえ。」


梅崎君本当にごめん。
君は、悪くないんだよ。別に君のこと嫌いとか…じゃ…ない…んだよね…。



でも…







でも…






体が拒否反応をおこすんだよ。


「また?これで何回目よ!いい加減なれなさい。」


今は、お昼休み。


実咲に練習の時の話をしたら案の定、怒られてる始末。

「だって、男の子って無理なんだよー。」


「わかってるけど。それじゃ、イケメン君が可哀相でしょ?」


「う゛。確かに…。」


梅崎君には、確かに失礼なことしたなー。



「でも、あのイケメン君は、ちひろが嫌うような男じゃないよ?」


「わかってる。あの子はすごく優しい子なのはわかってる…でも…」



「でも…?」



あたしの男嫌いなのは治らない。


だから、梅崎君がすごく優しい子だとしても…






「無理なものは無理なのよー。」