私のかわいい後輩君



あたしは部長に対して、体が拒否反応を起こしている。

だから、体が勝手に返事を言ってしまった。







過酷な練習があたしを待っているのでした。




あの時、返事をしないほうがよかったんじゃないかと思っていた。



4月に入学してから、気づけば、学校は体育祭モードになっていた。


「んじゃ、対抗リレーの女子の方は、中川さんで決定ね。」


「はーい。」


俺が、知らない間になんか話が進んでいる。


対抗リレー?
なんだそれ…?


「男子は、誰にする?」


「俺は、涼介がいいと思う。」


「は?!却下。」


俺は、部活に入ってないんだから。
リレーとかは、現役のヤツらがやればいいと思う。


「だって、涼介足速いだろ?」


「別に速かねぇーし。お前がやればいいだろ。バスケ部入ってんだろ。」





「もー。早く決めちゃってよ。」


学級委員が、なかなか決まらない男子にたいして怒りを表わしだした。


「きまんないなら、梅しちゃいなよ。」


「意味わかんねぇーんだよ。俺は、しない。」


だいたい、リレーとか練習とかすごいめんどくさそう。

俺は、どちらかというと…
借り物競走とか
障害物競走とか
あんまし、実力を発揮しないような競技がいいんだよなー。



《ブーッブー》


ん?
携帯?

いきなり、俺の携帯のバイブがなった。



メールの差出人は、最近メアド交換した北川先輩だ。

どうせたいした内容じゃないとおもって、受信ボックスを開いた。



メールの内容をみて、びっくりした。

というか、目を疑った。



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From:北川実咲
件名:耳寄り情報♪
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ヤッホー。
北川実咲からの耳寄り情報だよ(≧∇≦)

ところで、もう体育祭の競技は決まったかしら?

決まってないなら、チャンスだよ♪

君の好きなちひろの出場種目は、なんと…。


対抗リレーでーす。


偶然を装って出んのもちひろと仲良くなるチャンスだよ(^o^)/


んじゃ、頑張ってV(^-^)V


ちひろ先輩が、対抗リレーにでるのか…。


まてよ…。
対抗リレーって今決めてるんじゃ?


「もうー。きまんないなら、決まるまで男子全員居残りね。」


対抗リレーにでて、ちひろ先輩と親しく会話できるようになりたい。

でも、今更手を挙げてもただの空気読めてないヤツになってしまう。


「ダァー」


「ど…どうしたの!?」


あん時、対抗リレーに出てもいいって言えばよかった。


…そもそも、なんでちひろ先輩が対抗リレーにでるんだ?



北川先輩に聞いてみよう。


「そ…送……信っと。」



《ブーッブーッ》


って返信速っ!!


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From:北川実咲
件名:Re:
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ちひろ、現役陸上部。


対抗リレー出て当たり前。

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えぇー。
ちひろ先輩が、現役陸上部かよ。

スゲー。
あっ。
だから、中川と仲良いわけだ。


この日ようやく、俺の中のなにかが解決した。



《キーンコーンカーンコーン》


「6限目終わっちゃった。」

「お前ら、ちゃんと対抗リレーの選手決めろよ。出たくないのは、先生も分かる。」


「分かんなら、先生出ろよー。」




今まで、黙って聞いていた担任が、いきなりしゃべりだした。




「先生は、運動をあまり得意としない。」


いわゆる、運動オンチな訳だ。


そんなこと言ってると、先生は運動より勉強ができたとか…。


なんの根拠のない話をしてくるしまつ。




担任が、あぁーだから、クラスもあぁーだ。



「男子は、居残りで選手決めてよ。今日、対抗リレーの顔合わせあるんだから…。」




今日顔合わせなんて聞いてない。

ここで俺がリレーの選手になったら、憧れのちひろ先輩と会話ができる。



が、しかし…。

さっきまで、あんなに拒んでたんだ。
いきなり、やりたいなんて言ったら…。


それなら、最初からやるって言ってろよ。

ってことになりかねない。


なかなか、話合いしても進まない。

対抗リレーの選手は、いっこうに決まらない。




そんなとき、女子学級委員が痺れを切らして、発言した。


「決まらないなら、クラスで一番速いタイムの人で決定。」



……。



「梅崎君よろしく」


笑って言ってるけど、顔が笑ってない。
この時俺は、とんでもない恐怖を覚えた。



反論したいけど、空気的にしてはいけないって感じで…。


「はい。」


と言うことしか俺にはできなかった。


「今日の放課後に顔合わせあるから、ちゃんと行ってよ。」