そこに現れたのは、入学式の男の子だった。
名前は…梅なんとか…だったような?
「結局、梅になってんじゃん。」
「たくよー。俺は、反対したんだぜ。」
「君が、1年男子代表の子かな?あたしは、3年の本多紗羅。よろしく。」
「俺は、梅崎涼介です。よろしくお願いします。」
全員が、集まったところで軽い自己紹介が始まった。
自己紹介を軽く済ませたあたし達は、次に走順を決めることになった。
「あたしは、奇数の走者が女子で、偶然の走者は男子がいいと思う。」
「俺は、それでいいんじゃないかと思うけど、みんなはどう?」
「いいです。」
かくして、紗羅先輩が考えた案が採用となり走者順が決まりこのように
-走者順-
かなこ→2年男子→紗羅→3年男子→ちひろ→涼介。
なった。
「えっと、梅崎君だっけ?よろしくね。」
「はい。よろしくお願いします。」
「んじゃ、今日のところはこれで解散。明日から練習だから…」
うげっ。
練習いやだなぁ。
「ちひろ、練習と聞いて露骨に嫌な顔しない。ちゃんときなさいよ。」
「う…。は…はい。」
あたしは部長に対して、体が拒否反応を起こしている。
だから、体が勝手に返事を言ってしまった。
過酷な練習があたしを待っているのでした。
あの時、返事をしないほうがよかったんじゃないかと思っていた。
4月に入学してから、気づけば、学校は体育祭モードになっていた。
「んじゃ、対抗リレーの女子の方は、中川さんで決定ね。」
「はーい。」
俺が、知らない間になんか話が進んでいる。
対抗リレー?
なんだそれ…?
「男子は、誰にする?」
「俺は、涼介がいいと思う。」
「は?!却下。」
俺は、部活に入ってないんだから。
リレーとかは、現役のヤツらがやればいいと思う。
「だって、涼介足速いだろ?」
「別に速かねぇーし。お前がやればいいだろ。バスケ部入ってんだろ。」
「もー。早く決めちゃってよ。」
学級委員が、なかなか決まらない男子にたいして怒りを表わしだした。
「きまんないなら、梅しちゃいなよ。」
「意味わかんねぇーんだよ。俺は、しない。」
だいたい、リレーとか練習とかすごいめんどくさそう。
俺は、どちらかというと…
借り物競走とか
障害物競走とか
あんまし、実力を発揮しないような競技がいいんだよなー。
《ブーッブー》
ん?
携帯?
いきなり、俺の携帯のバイブがなった。
メールの差出人は、最近メアド交換した北川先輩だ。
どうせたいした内容じゃないとおもって、受信ボックスを開いた。
メールの内容をみて、びっくりした。
というか、目を疑った。
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From:北川実咲
件名:耳寄り情報♪
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ヤッホー。
北川実咲からの耳寄り情報だよ(≧∇≦)
ところで、もう体育祭の競技は決まったかしら?
決まってないなら、チャンスだよ♪
君の好きなちひろの出場種目は、なんと…。
対抗リレーでーす。
偶然を装って出んのもちひろと仲良くなるチャンスだよ(^o^)/
んじゃ、頑張ってV(^-^)V
ちひろ先輩が、対抗リレーにでるのか…。
まてよ…。
対抗リレーって今決めてるんじゃ?
「もうー。きまんないなら、決まるまで男子全員居残りね。」
対抗リレーにでて、ちひろ先輩と親しく会話できるようになりたい。
でも、今更手を挙げてもただの空気読めてないヤツになってしまう。
「ダァー」
「ど…どうしたの!?」
あん時、対抗リレーに出てもいいって言えばよかった。
…そもそも、なんでちひろ先輩が対抗リレーにでるんだ?
北川先輩に聞いてみよう。
「そ…送……信っと。」
《ブーッブーッ》
って返信速っ!!
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From:北川実咲
件名:Re:
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ちひろ、現役陸上部。
対抗リレー出て当たり前。
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えぇー。
ちひろ先輩が、現役陸上部かよ。
スゲー。
あっ。
だから、中川と仲良いわけだ。
この日ようやく、俺の中のなにかが解決した。
《キーンコーンカーンコーン》
「6限目終わっちゃった。」
「お前ら、ちゃんと対抗リレーの選手決めろよ。出たくないのは、先生も分かる。」
「分かんなら、先生出ろよー。」
今まで、黙って聞いていた担任が、いきなりしゃべりだした。
「先生は、運動をあまり得意としない。」
いわゆる、運動オンチな訳だ。
そんなこと言ってると、先生は運動より勉強ができたとか…。
なんの根拠のない話をしてくるしまつ。
担任が、あぁーだから、クラスもあぁーだ。