「かなこちゃん。かわいいね。ちひろが叫んだ訳だ。」
「そんなことないですよ。実咲先輩の方がかわいいらしいです。」
「まじ!?ありがとう♪」
「かなこ。あんまり、実咲を褒めたらダメ。」
「なんでですか??」
「え。調子に乗るから」
「そうそう……ってこら。あぁーー。」
そういきなり、俺の方をみて叫び出したこの間の先輩。
そのおかげで、春瀬先輩と目があってしまった。
「イケメン君じゃない。久しぶり♪」
そういいながら、俺の前に現れた。
「お久しぶりで…す。」
「相変わらず、イケメン君はカッコイイね!」
相変わらずってどういうことですか…ね。
「ね。そう思わない?ちひろ。」
「ん!?別に…あたし男興味ない…。」
きょ…興味ない…。
またまた、振られたのか俺…。
ってまて、だから告白してない。
興味ないって、誰か他に好きな人がいるのだろうか…。
「ま、ちひろが男に興味ないのは、相変わらずか…。」
「え。ちひろ先輩っていわゆる男嫌いなんですか?」
男嫌い?
春瀬先輩が…?
「そうそう、ちひろは世間体で言えば男嫌い。」
「なんでですか?」
「昔色々あって、男嫌いになった。」
昔色々あって、男嫌いに?
春瀬先輩が?
ってことは、今告白とかしてもぜってー振られるじゃねぇーかよ。
「はぁー。」
「どしたの?イケメン君。」
「いや、こっちの事情です。」
「あーそうだ。イケメン君メアド交換しよ♪」
この先輩、春瀬先輩と随分仲良しだから、メアド交換して…
「いいですよ。」
断る理由もない。
このメアド交換がいい方向に進めば、俺の未来は明るい!!
メアド交換したおかげで、ちひろと涼介の仲が深まるのは、まだまだ先の話である。
初夏に近づくにつれて、
桜坂高校では
1学期最大の
イベントである
体育祭が始まります。
「個人種目を決めたいと思います。」
学級委員が話だす。
それを聞くと、体育祭シーズンだなってあらためて考えさせられる。
「ちひろ何でんの?」
「適当ー。」
だいたい、出場種目は決まってるからな。
「対抗リレーは、春瀬さんと伊東君で決定です。」
ほら…ね。
別にリレーが嫌いじゃないけど、あたしだってリレー以外の種目に出てみたい。
「さすが、現役陸上部。」
でも、それはさすがに無理なようで…。
「まーね。実咲は、何でんの?」
「ん?私?わた…し…は借り物競走。」
携帯か、しゃべるかどちらかにしろだろ。
ってか、何故に今の時間に携帯みてんだ?
「…送信っと。」
「誰かにメール?」
「ん?な・い・しょ♪」
「内緒…ねー。って、借り物競走ってなに?」
「あんた、ちゃんと体育祭みてたの?」
み…みてないかなー。
確か去年は、自分の出場種目まで屋上にいたからなぁー。
「そうだった。屋上いたよね確か。はぁー、借り物競走っていうのは~…なんだよわかった?」
5分くらい、実咲は借り物競走について詳しくしゃべっていた…。
おかげで、借り物競走のことは、詳しくなった。
「ちひろ、今日の放課後。会議室に集合ね。」
「なんで?」
「対抗リレーの顔合わせ。」
なんだ。
顔合わせか…。
誰が、対抗リレーに出るのか楽しみ。
「大変だね。対抗リレー」
《ブーッブーッ》
「はぁー。そんくらい知ってろよ。…送…信っと。」
「また、メール?」
「ちょっと…ね。」
この頃から、実咲の行動は考えてみたらおかしかった。
最近、しょっちゅう誰かとメールしてるし…。
でも、余り深く考えてなかったんだ。
―放課後―
「会議室ってここなんだ。2年目にして、初めてしったよ」
《ガチャ》
「失礼しまーす。」
「よ、ちひろ。やっぱり、対抗リレーやね。」
ん??
そ…その声は、紗羅先輩じゃん。
「紗羅先輩なんですか?3年代表…。」
ってことは、必然的に相手チームの3年女子は、亜沙先輩と言うこと…。
「亜沙先輩だけは、敵にしたくなかったです。」
「それは、あたしも同じ意見。」
亜沙先輩は、かわいい割に以外と部の中でトップレベルの速さの人。
まぁ。紗羅先輩も何だけどね…。
「相手チームに亜沙が居るなら、いい戦いになりそうじゃない?」
確かに。
今年の対抗リレーまじで楽しみ。
「そうだ。先輩、1年生達は?」
「相変わらずの後輩好きだなってまだ来てないけど…ね。」
はぁー。
まだ、来てないのか…。
1年代表誰何だろ…?
《ガチャ》
「すみません。遅れました…。」
そこにいたのは…。