4年前に、先輩から裏切られて自分が嫌で仕方がなかった。
そして、男嫌いって意味もない理由つけて。
自分を守ってきた。
そんな自分を変えてくれたのは……。
向きあってくれたのは……。
実咲とかじゃなく。
梅崎くんだったんだ。
あたしは、梅崎くんのこと?
「どう、わかった?
もう、ちひろは誰が好きなのかがさ。」
「あたしの好きな人は……。」
ほかの誰でもない。
梅崎くんだ。
あたし、梅崎くんのこと
多分、ずっと好きだったんだ。
「あたし、梅崎くんのこと
好きなんだ。」
「ちひろ…!!」
「よかった。
じゃあ、あとは簡単だな。」
あとは、簡単……。
「……無理、全然に無理。
いや、またあの時と同じ思いをするのは嫌。」
「何怖がってんだ。
お前が、行動しないと何も始まんねぇー。」
「……あたしが行動しないと……?」
でも、保障も何もない。
振られる確率の方が高い気がする。
あの時と同じ思いだけは、したくない。
それに、梅崎くんだけには……。
多分、梅崎くんにあたしが告白したら、きっと優しいから
あたしのことなんとも思ってなくとも……。
梅崎くんは、あたしの過去を知ってるから……
彼は、きっと優しさから
OKしてくれると思う。
そんなの嬉しくない。
本当は、知ってほしくなかった。
だって……
梅崎くんは、優しいから……………。
たとえ、あたしが自分の気持ちに気づいても……
多分、無理だったんだ。
結局、あいつと春瀬先輩の関係ってなんだったんだ?
ここ数日、このことばかり考えている。
「よ、涼介!どうしたんだよ。
難しい顔したりしてさ。」
「………。」
「おーい。涼介!」
「……あ、わりぃ。
なんか、用か?」
「いや、別にねぇーけど……。」
ぶつぶつ、一人で文句言ってる悠輝。
普段なら、構ってやるけど………さ。
俺は、春瀬先輩とあいつの関係が!!
「梅、昨日の番組さ………」
にこにこ笑いながら、俺のもとに来る中川。
確か……
中川と春瀬先輩って同じ部活で仲が良かったはず。
だから、中川に春瀬先輩とあいつのこと聞いたら、なんか知ってりはず!
「中川、あのさ。」
「ん?何?」
「お前ってさ、春瀬先輩と仲良いよな?」
「そだけど……。
それが、どうかしたの?」
「春瀬先輩とよく一緒にいる男いるだろ?
そいつって春瀬先輩のどういう関係なんだ?」
もし、ここで
「うん。そうだよ?」
って言われたらどうすっかな?
それでも、中川から
出た言葉は、意外なものだった。
「……しらない……しらないわよ!!」
その中川は、いつも以上に
怒りをあらわにして、
いかにも興奮してますって感じだった。
「え?」
「しらないわよ。
だいたい、なんでいつも春瀬先輩、春瀬先輩なの?」
「はい?」
「いつも、いつも春瀬先輩ばかりで気分悪いよ。
なんで?
私の方が、梅の近くにいるのに。私の方が……」
そう言うと、中川は教室から走ってどこかに行ってしまった。
突然、中川が走りさってしまい、俺はただ呆然としていた。
「やるー。色男~♪」
「は?!」
「中川ってそうだったんだな。」
「なにが?」
「マジで?
わかんねーの?」
「おう。」
「頭がいいわりに、そっちのことは、馬鹿かよ。
あぁー。中川可哀相。」
いやいや、待て待て。
意味がわからん、俺の方がよっぽど可哀相だと思うんだか………。
それにしても、なんで中川はいきなり怒りだしたんだ?
あたしが、梅崎くんへの
気持ちに気がついて1週間がたった。
別に思いも伝えないから、
あれからの進歩なし!
「う。笑えないよー。」
「うんうん。笑えないねー。」
ひどい、すごく棒読みな実咲。ま、携帯いじってる時は大抵こんな感じだけど……ね。
最近、またお気に入りの人を見つけたらしい。
多分、その人とメールしてるんじゃないかなって思う。
でも…―――。
「むー。暇いよ、実咲が相手してくんない。」
実咲はさっきから、携帯の相手ばかりして、あたしの相手全然してくれない。
「はは。相変わらず、実咲は冷たいな?
よし、俺が相手してやんよ。」
「えー。太陽が?
珍しいね。なんか良い事でもあった?」
「よくぞ、聞いてくれた!!」
なんか、今日の太陽。
はっきり言うと、キモい感じ。うわー。なんなの?