私のかわいい後輩君


「先輩、ちょっと聞いていいですか?」

「オッケー。」

「ぶっちゃけ、春瀬先輩のこと好きなんですか?」

「……ぶ。ぶははっはは……。」

なんだよ。コイツいきなり吹き出しやがった。
失礼じゃないか?


「ふーん。気になる?」

「はい。」

「……ぷっ。」


なにコイツまた、吹き出しやがった。



「ごめん、ごめん。
君があまりにも素直だから。」


それって、褒めてんのか?
それともけなしてる?


「うんうん。ちひろのことが気になるのか。」

「いや、別に気になるとかじゃ……」

「ま、君。ちひろのこと好きだもんな。」

「……。」

………ってなんで、コイツまで知ってんだ?
最近、会ったばかりなのに。
なんでだ?


もしかして、北川先輩と同じでエスパーか……?



「はい、そこ。
変な妄想しない!!
俺は、エスパーなんかじゃないぜ。君わかりやすいからね。」


わかりやすい?
なにが?
性格がか……。
冗談じゃねぇよ!


「と言っても、ちひろくらいじゃないか?
君の気持ちに気づいてないのは。」

「………。」

「大変だ。ま、がんばれや。」

「あ……はい。」



「篠原~。ちょっと来い。」

「おう、今行くわ。
ってことだから、じゃ!」

そういうと、そいつはすたすたと俺の目の前から姿を消した。簡単に言うと、逃げた。


って、はぐらかされた。
質問に答えてもらってねぇーし。
反対に答えさせられたし。
あいつは、くせ者だ。


「はぁ、最近悩み事多いよ。」

「あら、良いことじゃない。
悩みが無くて、暇じゃなくて。」

「嫌味ですか?」

「そう聞こえたんなら、ごめんね。」


すごい、嫌味たらしい。
クスクスとちょっと離れた場所で、太陽が笑っている。


「む、なんだ?」

「いや、面白いよね。二人とも仲良くて。」


そっかな?
実咲とは、中学からの付き合いだから。
特別仲が良いって意識しなかったな。


「いいな、仲良し。」

「え?太陽も居るじゃん………あ!」


そっか、太陽。
最近、転校したばかりだから、それといって仲が良いって人いないのかも……しれない。


「ごめん。」

「なんで謝んの?」

「そうよ、ちひろ。
コイツに謝る価値無し!!」

って実咲さん、またそんな。
厳しいこと。


「実咲、ひどい。
うっう……。」

「男なのにキモい。近づくなよ。わたしの半径1m以内に入んなよ!」

「え?半径1㎝以内?
狭いな~。」

「聞き間違い?
耳鼻科行ったら?」

「みみか?
俺、太陽って名前だけど。」

「……ぷっ。あはは……」


笑ったらいけないって思いながらも、実咲と太陽のやり取りはテンポよくて、漫才みてるみたいな感じ。



「ほら、ちひろに笑われた。」

「えー。俺のせい?」

「もーダメ。お腹痛いよー。」


二人の会話が面白すぎて、涙が出てきた。


「ちひろ、涙まで出して。」

「ん?さては……。
俺の美貌がやばいすぎて、涙が出たか?」

「は、誰が?
意味わかんないのは、頭だけにしてよ。」

「実咲さん。ひ…ひどい。」


と言い、太陽はしゃがみ込んで、「の」の字書きはじめた。

相変わらず、太陽は面白い。



でも、太陽のことってあたしよく知らないな。
前の友達の話とか、家族の話とか……
ま、ひとさまのプライベートだし、気にしないでおくか。


「篠原くん。ちょっと良いかな?」


ある日。
そういい、一人の女子生徒が太陽に話かけた。


「オッケー。じゃ、ちょっと行ってくんわ。」

「いってらっしゃい。
てか、永遠に帰ってくんな~!!(笑)」

と言い、太陽とその子は教室から出ていった。


「告白かしら、太陽のくせにやるわね。
ま、あいつ顔だけは良いからね~♪」

「あは……ははは。」

太陽が告白か。
……そういや、太陽ってそもそも彼女とかいんの?



「ただいま~」

「あら、どうだったの?」

「あー、告白されたから。
断っただけ。」


断っただけねぇ~
……って断った?


「なんで?」

「なんでって。だって、俺。
彼女いるし。」


へぇー。
彼女ねぇ~……って彼女?

「えぇー。太陽、彼女いたの?」

「あれ、言ってなかったっけ?」

「知らないよ。」

「そっか、んじゃ。教えてあげる。
俺の彼女の、霞。」


太陽から、彼女の写メをみして貰った。




「ちなみに、幼なじみ。」

「へぇ、幼なじみからの恋人か……。なんか、うらやましいな~。」

「なんで?
意外と、幼なじみの恋愛も難しいもんだよ?
物心つく前から、一緒だからさ。告白とか、なかなかできないのよ。
互いに、幼なじみという関係を壊したくないんだよね。」


ふーん。
意外と幼なじみの恋愛も大変なんだね。
小説とかだと、いい感じなんだけどな。
実際ってそんなもんなのか。


「大変だったね。」

「そうなんだよ。で、二人は彼氏とかいたの?」

「いるわよ。それなりに。」

「うわー。実咲の彼氏可愛そう。同情すんわ。」


彼氏か……。
なんか、色々考えるな。