「ふぅー。いい過ぎたかしら。」
目にいっぱいの涙溜めて、今にもわんわんと泣き出しそうだった。
「実咲は、本当優しいね。
てか、友達思い。」
「そうかしら?」
わたしが、友達思い……か。
教室を駆け出して行く、ちひろを見て、追いかけられなかった。
また、4年前と同じような気がして。
親友のピンチに助けることの
できなかった、
あの時みたいに……
「ちひろの所に行ってくる。」
「行くって場所知ってんの?」
ちひろが行きそうな場所くらいわかる。
だってわたし……。
「親友だから。」
あの時は、何もできなかった。だから、今度は……
困ってるちひろを助けたい。
「なんか、いいな。
暖かい友情ってヤツ……。」
「やっぱり、ここか。」
「え?……実咲。」
なんで、ここに?って顔をしてるちひろの横の座った。
この学校の中で、ちひろが行きそうな場所なら、屋上くらいしかない。
何故か、わかる。
あの時も、丘にいる気がして向かった。
「ね、実咲。」
「ん?」
「恋愛って難しいね。
あたし多分、誰かを好きになるのが恐いんだ。」
わかってる。
過去があるだけに、また同じことの繰り返しになるんじゃないのかって不安だよね。
「うん。わかってる。」
何も言わなくたって、本当はわかってたんだ。
でも、ちひろが梅崎のことで悩んでんの聞いて、一人で舞い上がっちゃって……。
梅崎のこと好きなんでしょ?
なんて言っちゃたけど、
ちひろが本当に梅崎のこと
好きだって自覚するまで、
わたしは、ちひろを見守ってる。
「ごめんね。実咲…。」
「なんで、あんたが謝んの?
わたしが、一人で先走っただけだから。」
「でも、あたしの為でしょ?」
ちひろの為だったの?
ま、とりあえずそういう事にしておくか。
「とりあえず、教室に帰ろ。
太陽が心配してるし。」
「うん。」
二人で屋上を後にした。
それにしても、かなこも
ちひろに協力させるなんて、
大したもんだわ。
侮れんな。
「ごめんね。太陽心配かけて。」
「え?俺、これぽっちも心配してないけど。」
「えぇ~。心配してよ。」
とか、言いながらいつものちひろに戻っていた。
ほっとした半面、
少し、かなこと言う人物を調べる必要があるみたいね。
と思っていた。
最近、中川がうざい。
んー。
うざいって言うのは、ひどいけど、休み時間や下校時ありとあらゆる時間、俺の近くにいる
っていうより、何かと喋りかけてくる。
別に悪い奴じゃないのは、知ってんだけど、ありとあらゆる時間って言うのは、さすがにきつい。
「ねぇ~。梅、この問題さ~………。」
まただ、最近こればっか。
コイツに構ってる暇はない。
こうしてる間にも
あいつが、
あいつが……
春瀬先輩と親密な関係になるかも知れない。
「ダァー。」
さすがに、痺れを切らした俺は春瀬先輩のクラスに向かった。
「あの、春瀬先輩は?」
「ちひろ?今いないよ。」
いない?
どこにいるんだ。
「あれ?君はいつぞやの
えっと~……。」
「梅崎です。」
「そうそう、梅崎くんだ。
うんうん。覚えてるよ。」
人の名前忘れてたくせによく言うぜ。
「ん?ちひろかい。あいつなら、実咲とどっか行ったぜ。」
そうなんだ。
まてよ。先輩たちがいないんなら、コイツと話絶好のチャンスだ。
「先輩、ちょっと聞いていいですか?」
「オッケー。」
「ぶっちゃけ、春瀬先輩のこと好きなんですか?」
「……ぶ。ぶははっはは……。」
なんだよ。コイツいきなり吹き出しやがった。
失礼じゃないか?
「ふーん。気になる?」
「はい。」
「……ぷっ。」
なにコイツまた、吹き出しやがった。
「ごめん、ごめん。
君があまりにも素直だから。」
それって、褒めてんのか?
それともけなしてる?
「うんうん。ちひろのことが気になるのか。」
「いや、別に気になるとかじゃ……」
「ま、君。ちひろのこと好きだもんな。」
「……。」
………ってなんで、コイツまで知ってんだ?
最近、会ったばかりなのに。
なんでだ?
もしかして、北川先輩と同じでエスパーか……?