私のかわいい後輩君


「先輩、わたしの恋のお手伝いして下さい。」


「え?」

あたしが?
かなこと梅崎くんを結ばせるお手伝い?

どうしよう。
でも、後輩の頼みだし……。


……協力してあげよう。

「うん。いいよ。」


「ありがとうございます。
先輩ならそう言ってくれる
って思ってました。」


かなこかわいいな。
本当に梅崎くんのこと好きなんだ。
二人が付き合ったらお似合いだろうな。
かわいいかなこにカッコイイ梅崎くん。




二人が付き合ったら、
お似合いだろうな~って思ってるのに。


でも、なんでこんなにも






苦しいの?









なんで、






涙なんて




出るの?



「……え?ちひろ?
なんで泣いてんの?」


「え?泣いてなんて……」


あれ?
どうして涙なんて出るの?


今の話は、実咲と太陽に笑いながら話とこなのに。

修羅場~とか言いながら……


「なんでだろ。おかしいな?」


笑いたいのに、笑えない。
自分では、なんでこんなにも涙が出るのかわからない。


「おかしくない!」


「え。実咲?」

いきなり、声を上げてあたしのほうを見ながらなにかを訴えている。


「ふぅー。ちひろさ、あんた。
梅崎のこと好きなんでしょ?」


「……まさか。」


「まさかじゃない!
んじゃ、なんで涙なんて出してんの?」


「わかんない。」

あたしが梅崎くんのこと
好きなわけない。


だって…



だって……



「もぅー。やだ。
わけわかんない。」


あたしは、そう言いながら教室から走り出していた。



気がつけば、屋上に辿りついていた。

「ハァハァッ。」


もう、なにもかもが嫌。
わかんない。

かなこと梅崎くんの恋を応援するって思ってんのに。



わからない。



あたしが梅崎くんのこと好き?確かに、梅崎くんは好きだけど、それは友達…いや

後輩だから……?


それとも、恋愛?



どっち?









「ふぅー。いい過ぎたかしら。」

目にいっぱいの涙溜めて、今にもわんわんと泣き出しそうだった。


「実咲は、本当優しいね。
てか、友達思い。」


「そうかしら?」


わたしが、友達思い……か。
教室を駆け出して行く、ちひろを見て、追いかけられなかった。


また、4年前と同じような気がして。
親友のピンチに助けることの
できなかった、

あの時みたいに……





「ちひろの所に行ってくる。」


「行くって場所知ってんの?」


ちひろが行きそうな場所くらいわかる。
だってわたし……。

「親友だから。」


あの時は、何もできなかった。だから、今度は……

困ってるちひろを助けたい。



「なんか、いいな。
暖かい友情ってヤツ……。」



「やっぱり、ここか。」


「え?……実咲。」


なんで、ここに?って顔をしてるちひろの横の座った。

この学校の中で、ちひろが行きそうな場所なら、屋上くらいしかない。

何故か、わかる。
あの時も、丘にいる気がして向かった。

「ね、実咲。」


「ん?」


「恋愛って難しいね。
あたし多分、誰かを好きになるのが恐いんだ。」


わかってる。
過去があるだけに、また同じことの繰り返しになるんじゃないのかって不安だよね。


「うん。わかってる。」


何も言わなくたって、本当はわかってたんだ。
でも、ちひろが梅崎のことで悩んでんの聞いて、一人で舞い上がっちゃって……。


梅崎のこと好きなんでしょ?
なんて言っちゃたけど、

ちひろが本当に梅崎のこと
好きだって自覚するまで、
わたしは、ちひろを見守ってる。


「ごめんね。実咲…。」

「なんで、あんたが謝んの?
わたしが、一人で先走っただけだから。」

「でも、あたしの為でしょ?」


ちひろの為だったの?
ま、とりあえずそういう事にしておくか。