「誰だ。お前ら…」
「ひどーい。私達、涼介君と同じクラスなのに。」
同じクラス?
……。
ってわかるわけねぇーだろ。
「ん?何々、君達。かわいいね。名前は?」
「相変わらずだなぁー。お前も…。んじゃ、悠輝後は任せた。」
「おう。」
悠輝の女好きは、相変わらずだよなぁー。
まぁ、いつも俺が女子に囲まれた時は、助けてくれんだけど…な。
そんな事より、あの人は何処にいるんだろうか……。
「ちひろー。今日、早かったね。」
「だって…ハァ…。実咲が、先生来るってゆうから…。」
この子は、北川実咲。
中学時代からの親友…。
「アハハ。さすが、現役陸上部。」
「もー。」
相変わらず、実咲は人使いが荒いってゆうか、なんてゆうか…。
かわいい顔して、ドSな行動・発言をする。
初対面の人には、よくびっくりされるらしい。
あたしでさえも、びっくりしたもんなぁー。
「お前ら、早く会場に集まれ!」
入学式…。
怠いなぁー。
『ただ今より、第25回入学式を始めます。』
『新入生代表挨拶。代表、1年2組 梅崎涼介。』
「はい…――。」
「ちひろ、あの子かっこよくない?」
また、出たよ。
実咲のイケメン好き。
「どれ?……。あの子…さっきの…。」
「何々、知ってる子?」
知ってるもなにも…。
今日、朝会ったってか…道に迷ってた子。
「ちょっと…ね。」
「ふーん。」
『これを持ちまして、第25回入学式を終わります。一同起立。…礼。』
やっと、長かった入学式が終わった。
「わー。終わった終わった。さーて…、早く帰ろっと」
「…ちょっと、待ちなさいちひろちゃん。」
「なに?実咲。」
「ねぇー、さっきの子知ってんの?」
さっきの…子。
うーん…と。
「あたしが、さっきカッコイイって言ってた人!!」
「あぁー。あの子ね。知ってるってゆうか、今日会ったばっかりの子。」
「にしても、男嫌いなちひろが男子の顔覚えるなんて珍しい。」
「あたしだって、顔ぐらい覚えますよーだ。」
確かに…。
あんなにはっきり、顔覚えてたのは、びっくりした。
「まぁ、いいや。ちひろ帰ろ。」
「だね。」
たまには、あたしだって男子の顔くらい覚えてる時あるよ…ね。
ん?
なんで、あたしがこんなにも男嫌いかと言うと…それは、後々わかる事になると思う。
「…でさぁー。…あ。入学式のイケメン君。」
「本当だ。今朝のまいごくん…。」
「まいごくん…?ま、いいや。せっかくだから、話かけてみよっと」
さすが、肉食系女子!
あっぱれです。
「ねぇー。君、入学式で挨拶してた子でしょ?」
「ん?俺の事ですか?」
「そう、君。名前は?」
カッコイイって言ってたわりには、実咲…。
あんたってヤツは、名前知らんかったのかよ。
「え。梅崎涼介って言いますけどなんです…か…。」
ん?
また、思考停止したような感じになっている。
「あぁー。今朝は、ありがとうございました。おかげで助かりました。」
「いやいや、別にたいした事してないよ」
たいした事は、してないはずなのにあんなに感謝されると…。
気分いいなぁー。
「何々、ちひろ何したの?」
「今朝、まいごだったこの子を学校に連れてきたの。」
「へぇー。ちひろが男の子助けるなんて以外。」
「あたしだって…。って、確かに否定できないですが…。」
そんな所が、悲しいけどなぁー。
でも、わかってる事しっかりと言われると…。
なんか、気分悪いなぁー。
「んで、実咲。用がないんなら帰ろってかあたし先帰るよ。」
「えー、待ってよー。久しぶりに一緒に帰れるんだから…。」
そう思ってるなら、しゃべりかけんなよ。
まぁ、実咲のイケメン好きは、今に始まったことじゃないから仕方ないんだけどね。
「んじゃ。イケメン君また今度話そうねー。」
「あぁー。はい。さようなら。」
「待ってよ。ちひろぉー。」
こうして、あたしと貴方の運命の出会いの日は、呆気なく幕を閉じたのであった。
「んじゃ。イケメン君また今度話そうねー。」
「あぁー。はい。さようなら。」
「待ってよ。ちひろぉー。」
こうして、やっとさって行った名前も知らない先輩と、春瀬ちひろさん。
また会えるなんて思ってもみなかった。
先輩だったのか…。
「どうりで探してもいない訳だ」
「誰がいないんだ。」
「うわ。悠輝かよ。いきなりでてくんな。」
「わりぃわりぃ。ってか、さっきお前が話てた先輩達って…。」
なんだ?
そのいかにも知ってますよって言い方…。
「お前、知ってんの?」
「お前知らないのかよ。あの二人は、この学校で美少女コンビとして有名だぜ。」
もっと、いいネーミングなかったんだろうか…。
でも、美少女コンビか。
言われてるのなんとなくわかるわ。
春瀬ちひろさんは、かなりの美少女だ。
もう一人のヤツも、なかなかの…いや、春瀬さんには劣るけどなぁ。