「……あ、先生忘れてた。今日転校生がくるんだった。」
転校生…?
ってそこ忘れたらいけなくない?
でも、転校生か……
誰だろ~
できれば、女の子がいいな。
「すまん、入ってくれ!」
…――ガラガラッ
「きゃあーー。カッコイイよ」
ん?
悲鳴?
「イケメンじゃん。ハンパないわね。ねぇ~ちひろ。」
「は?……え?」
いきなり、ふらないでよ。
「はい、静かに。転校生の
篠原太陽だ。篠原は……」
先生が紹介している、篠原太陽は……
顔がびっくりするほどに整っていて、背が高くスラリとしている。
有名人とかでいそうなくらいのかっこよさだと思う。
「……って先生がしゃべり過ぎてもいけんな。篠原、挨拶を……。」
「え~篠原太陽です。
さっき先生が紹介したんでしゃべること余りないんですが……皆さん、仲良くしてくれると嬉しいです。」
「きゃあーーー」
喋っただけなのに、クラスの女子の大半は、目がハートになってるようだった。
「強烈なキャラが来たね。」
「うん。なかなかのイケメンじゃない……」
まさか、この流れは……
「よし、さっそく話かけてこよっと……」
やっぱし。
さすが、肉食系女子。
イケメンなら、まずは話かける!すごいわ。
確か、梅崎くんとの最初の絡みも…
実咲のイケメン好きの性格からか。
よく思ったら、あん時はこんなにも仲良くなれるなんておもわなかった。
人生なにがあるかなんて、わかんないもんだと思った。
久しぶりの学校がようやく終わり、あたしは実咲と一緒に家に帰っている途中。
「はぁ~あ、お腹すいた。」
「確かに、どっかによっていく?」
「あ、ごめん。未奈にお昼ご飯を作らないと…」
「そっかぁ、頑張ってお姉ちゃん。」
お姉ちゃんって……
また、からかってんな。
「あれ?」
「どうしたの?」
「あれって篠原太陽じゃない?」
本当、篠原君だ。
ここにいるってことは……
家がこの近くってこと?
「呼んでみよっか!」
とニコニコと笑いながら言う実咲。
篠原君がなかなかのイケメンだから、乗り気な気持ちもわかるけども……。
「おーい。篠原~」
この子ったら本当に呼んじゃったよ。
もう、知らないから…
「あ、北川さん。」
といいながら、あたしたちの方に向かってきた。
「よ、家こっちのほうなの?」
「そうだけど。北川さんも?」
「そうだよ。………」
二人でめっちゃ話が盛り上がってる。
なんか、あたし忘れ去られてる感じ。
「…み……実咲!」
「うわっ!どうしたのよ。」
「なんか、無視されてる感じで感じ悪い。」
「ごめんね。」
「あれ?君は確か……同じクラスの……」
「春瀬ちひろです。よろしくね、篠原君。」
「よろしく。」
別に悪い人じゃなさそう。
あたしは、そう思った。
2学期が始まって、1ヶ月が過ぎようとしている。
あれから、あたしと実咲
それに、太陽を加えてよく行動している。
意外にも、太陽はいい奴で頼りになるお兄さんって感じ。
お兄さんとかいたらこんな感じなんだろうなって少し思ってたりしたりして……。
「おはよ。」
「よ、実咲とちひろ今日も元気だな。」
「何言ってんのよ。」
とか、日常茶飯事。
あたし、このメンバー好きだな。
別に恋愛感情とかじゃないんだけど、この二人といると本当の自分でいられる気がする。
「だから、そうじゃないって……」
あたしたちの、笑い声が廊下に響く。
「あ、春瀬先輩~」
と、久しぶりに聞く、聞き覚えのある声。
「梅崎くん。久しぶり」
「お久しぶりです。」
夏祭りで会った以来の
すごい久しぶりの再会。
「ちひろ、誰?」
「あ、紹介するね。梅崎涼介くん。すごいいい子なんだよ。」
「へぇ~。俺、篠原太陽。2学期にちひろと実咲のクラスに転校したんだ。よろしく。」
と言い、梅崎くんに手を差し出す。
「こちらこそ、よろしくお願いします。」
「いいわね。絵になるわ~!!イケメンが仲良く手を繋いでる。」
相変わらずの実咲。
「そうだ。かなこ元気?」
「え?……かなこって?
……。」
「あー。ごめんごめん。華菜だったっけ。」
あたしが勝手に付けたあだ名だから、他の人にはわかんないもんだね。
「あいつ、いつも元気ッスよ。でも、部活に行けば……。」
ギクッ……
「先輩、もしかして……」
「はい、そうでーす。」
最近、部活行ってません。
顔出してません。
あはは、そろそろ行かないと幽霊部員になったりして…。
「では、先輩。俺はここで…。」
あれ?
梅崎くんなんか変。
なんか顔が引き攣ってる感じ。そして、太陽を少し睨んでいた気がする。
「もしかして、俺。梅崎くんに嫌われてるって感じ?」
っていきなり言い出す太陽。
「かもね。なんか、私には火花が散ってたように見えたわ。」
と、盛り上げる実咲。
「はは…」
なんか、ありそうな予感。
最近、先輩の顔見てないな。
さすがに1ヶ月近く会ってないって言うのは、辛い。
「はぁ~あ。」
「ため息なんてらしくなくない?」
声がする方向を振り向くと、元気に笑っている中川がいた。
「中川か…」
「何々~?悩み事って感じ?」
悩み事か……。
確かに、悩み事言えば悩み事だ。
でも、女子じゃあるまいし
『恋の悩みなの~』とか言えねぇし。
てか、言ったらキモいだろ。