私のかわいい後輩君


「ハァ~…」


「もしかして、夏祭りの日。春瀬先輩に告らなかったのかよ。情けねぇ……」


グサッ。
ストレートに聞いてくんな…?

「は?……。
ってなんでしって……」


「図星って顔だな。」


「……あぁー。そーだよ。」


「そうシンミリになんなよ。
意外と春瀬先輩といい感じだったんだろ?」


いいかん…じ……
ねぇ~……。

「やっぱ俺信じれんわぁ」


何がだよ。


「何が?って顔すんな。
お前が誰かのこと本気で好きになるなんて思わなかったぜ。」


「そーか?」


「だって、お前。
周りがかわいいって騒いでた奴みて、『そんなかわいいか?』って暴言吐いたんだぜ?」


暴言吐いたって?
んな、ばかな……。


「それ聞いて、コイツ実は……男に興味あんだと思ってたくらいだし。」


「は?んな、わけねぇーし」


俺が男に興味?
……って想像もしたくねぇ。


こいつ、俺のことなんだとおもってたんだ?



「ま、とにかく。
俺からみたらお前らなかなかな感じだったぜ。あきらめんなよ!」


「あぁーわかった。」


なにがあっても、絶対に先輩のこと諦めたりしない。




絶対に……。














ってこの時は思っていた。


『俺…先輩のことが……』

あの日から、この言葉が頭から離れない。
本当はあの日、何が言いたかったの?


謎はどんどん深まるばかり。



実咲にあの後、好きな人いるのか聞いてみた。
でも、期待を大きく外してくれてこう言った。

『イケメンとお金しか興味もってない。だから、梅崎なんて眼中にない!』

って……。


それを聞いて、実咲らしいや
って思う半面……

何故か、ホッとしてる自分がいた。


《バコッ!》


「…った!」


見上げると……。
っげ…中須…せ…先生……。


「春瀬~!貴様、人の話聞いてなかったんだろ?」


げ!
ヤバい…今日から、学校だったんだ。
上の空だった。


「すみません。」


「だろうな。ま、春瀬の為にもう一度言うけど……」


そこから、ながったらしい中須の話が始まった。




「……あ、先生忘れてた。今日転校生がくるんだった。」


転校生…?
ってそこ忘れたらいけなくない?

でも、転校生か……
誰だろ~
できれば、女の子がいいな。


「すまん、入ってくれ!」


…――ガラガラッ


「きゃあーー。カッコイイよ」


ん?
悲鳴?


「イケメンじゃん。ハンパないわね。ねぇ~ちひろ。」


「は?……え?」


いきなり、ふらないでよ。


「はい、静かに。転校生の
篠原太陽だ。篠原は……」


先生が紹介している、篠原太陽は……
顔がびっくりするほどに整っていて、背が高くスラリとしている。

有名人とかでいそうなくらいのかっこよさだと思う。


「……って先生がしゃべり過ぎてもいけんな。篠原、挨拶を……。」


「え~篠原太陽です。
さっき先生が紹介したんでしゃべること余りないんですが……皆さん、仲良くしてくれると嬉しいです。」


「きゃあーーー」


喋っただけなのに、クラスの女子の大半は、目がハートになってるようだった。






「強烈なキャラが来たね。」


「うん。なかなかのイケメンじゃない……」


まさか、この流れは……


「よし、さっそく話かけてこよっと……」


やっぱし。
さすが、肉食系女子。
イケメンなら、まずは話かける!すごいわ。


確か、梅崎くんとの最初の絡みも…
実咲のイケメン好きの性格からか。
よく思ったら、あん時はこんなにも仲良くなれるなんておもわなかった。


人生なにがあるかなんて、わかんないもんだと思った。


久しぶりの学校がようやく終わり、あたしは実咲と一緒に家に帰っている途中。

「はぁ~あ、お腹すいた。」


「確かに、どっかによっていく?」


「あ、ごめん。未奈にお昼ご飯を作らないと…」


「そっかぁ、頑張ってお姉ちゃん。」

お姉ちゃんって……
また、からかってんな。

「あれ?」


「どうしたの?」


「あれって篠原太陽じゃない?」

本当、篠原君だ。
ここにいるってことは……
家がこの近くってこと?


「呼んでみよっか!」


とニコニコと笑いながら言う実咲。
篠原君がなかなかのイケメンだから、乗り気な気持ちもわかるけども……。



「おーい。篠原~」


この子ったら本当に呼んじゃったよ。
もう、知らないから…


「あ、北川さん。」


といいながら、あたしたちの方に向かってきた。


「よ、家こっちのほうなの?」


「そうだけど。北川さんも?」


「そうだよ。………」


二人でめっちゃ話が盛り上がってる。
なんか、あたし忘れ去られてる感じ。


「…み……実咲!」


「うわっ!どうしたのよ。」


「なんか、無視されてる感じで感じ悪い。」


「ごめんね。」


「あれ?君は確か……同じクラスの……」


「春瀬ちひろです。よろしくね、篠原君。」


「よろしく。」


別に悪い人じゃなさそう。
あたしは、そう思った。