「ちひろ、買ってきたよ。とりあえず、タコ焼きでいい?」
「ありがとう、実咲。」
さっきまで、モヤモヤしてた気持ちがなんかスッキリした気分。
なんで、モヤモヤしてたか謎だけど……
《ヒュー
ドーン ドドーン》
「あっ。花火だ!」
次から次へと打ち上がる。
色とりどりの花火…。
「綺麗ー」
そして、楽しい楽しい夏祭りは終わった。
「ハァ~……。」
楽しい夏休みが終わり
2学期になった。
「どうした?涼介。
2学期初日からブルーかよ。」
「ブルーもなにも…ハァ~」
なんで、あの時に告白しとかなかったんだろう。
チャンスだったのに……。
北川先輩にも怒られたなぁ~
『なんで、そこまで言って告白しないわけ?』
って……
でも、あの時。
告ってもその場のノリみたいなるのが嫌だった。
俺ってダメだわぁ~。
「ハァ~…」
「もしかして、夏祭りの日。春瀬先輩に告らなかったのかよ。情けねぇ……」
グサッ。
ストレートに聞いてくんな…?
「は?……。
ってなんでしって……」
「図星って顔だな。」
「……あぁー。そーだよ。」
「そうシンミリになんなよ。
意外と春瀬先輩といい感じだったんだろ?」
いいかん…じ……
ねぇ~……。
「やっぱ俺信じれんわぁ」
何がだよ。
「何が?って顔すんな。
お前が誰かのこと本気で好きになるなんて思わなかったぜ。」
「そーか?」
「だって、お前。
周りがかわいいって騒いでた奴みて、『そんなかわいいか?』って暴言吐いたんだぜ?」
暴言吐いたって?
んな、ばかな……。
「それ聞いて、コイツ実は……男に興味あんだと思ってたくらいだし。」
「は?んな、わけねぇーし」
俺が男に興味?
……って想像もしたくねぇ。
こいつ、俺のことなんだとおもってたんだ?
「ま、とにかく。
俺からみたらお前らなかなかな感じだったぜ。あきらめんなよ!」
「あぁーわかった。」
なにがあっても、絶対に先輩のこと諦めたりしない。
絶対に……。
ってこの時は思っていた。
『俺…先輩のことが……』
あの日から、この言葉が頭から離れない。
本当はあの日、何が言いたかったの?
謎はどんどん深まるばかり。
実咲にあの後、好きな人いるのか聞いてみた。
でも、期待を大きく外してくれてこう言った。
『イケメンとお金しか興味もってない。だから、梅崎なんて眼中にない!』
って……。
それを聞いて、実咲らしいや
って思う半面……
何故か、ホッとしてる自分がいた。
《バコッ!》
「…った!」
見上げると……。
っげ…中須…せ…先生……。
「春瀬~!貴様、人の話聞いてなかったんだろ?」
げ!
ヤバい…今日から、学校だったんだ。
上の空だった。
「すみません。」
「だろうな。ま、春瀬の為にもう一度言うけど……」
そこから、ながったらしい中須の話が始まった。
「……あ、先生忘れてた。今日転校生がくるんだった。」
転校生…?
ってそこ忘れたらいけなくない?
でも、転校生か……
誰だろ~
できれば、女の子がいいな。
「すまん、入ってくれ!」
…――ガラガラッ
「きゃあーー。カッコイイよ」
ん?
悲鳴?
「イケメンじゃん。ハンパないわね。ねぇ~ちひろ。」
「は?……え?」
いきなり、ふらないでよ。
「はい、静かに。転校生の
篠原太陽だ。篠原は……」
先生が紹介している、篠原太陽は……
顔がびっくりするほどに整っていて、背が高くスラリとしている。
有名人とかでいそうなくらいのかっこよさだと思う。
「……って先生がしゃべり過ぎてもいけんな。篠原、挨拶を……。」
「え~篠原太陽です。
さっき先生が紹介したんでしゃべること余りないんですが……皆さん、仲良くしてくれると嬉しいです。」
「きゃあーーー」
喋っただけなのに、クラスの女子の大半は、目がハートになってるようだった。
「強烈なキャラが来たね。」
「うん。なかなかのイケメンじゃない……」
まさか、この流れは……
「よし、さっそく話かけてこよっと……」
やっぱし。
さすが、肉食系女子。
イケメンなら、まずは話かける!すごいわ。
確か、梅崎くんとの最初の絡みも…
実咲のイケメン好きの性格からか。
よく思ったら、あん時はこんなにも仲良くなれるなんておもわなかった。
人生なにがあるかなんて、わかんないもんだと思った。