「ヤベー……。浮かれててすっかり、悠輝のこと忘れてた。どうすっかなぁ~」
終業式の日に一緒行こう的なこと言われてんだった……。
……。
「だぁーあぁぁぁー。」
《ガチャッ》
「もー。うるさいよー。お兄ちゃん!!」
「あぁー。わりぃわりぃ……。」
くっそぉー。
どうすっかなぁ……。
北川先輩に相談するか……。
《ブッーブッー》
「誰かしら?」
う…梅崎?
何の用かしら?
「はぁ?何意味わかんないんだけど……。」
行けないって今頃言われても……
あ!
それなら、こうすれば……いいんじゃない?
「はぁ~あ、早くこないかしら夏祭り。」
楽しみだわ……
あの二人がどう動いてくれるのか……。
そして、夏祭りの日。
「結局、きてしまった夏祭り。」
「うわぁー。おい、ちょっとこいよー。」
「悠輝お前、はしゃぎすぎ……。」
それにしても……
先輩たち遅いなぁ。
「誰が、一緒なんだよ。
いい加減、教えろ!」
今日、春瀬先輩たちと
一緒とは
悠輝には言ってない。
あいつ、
うるさいから……なぁ。
それにしても、どういう考えで悠輝も連れてこいなんて……
北川先輩の考えは、今だ読めない。
「悪い悪い、待たせたわね!」
「北川先輩、それに春瀬先輩もお久しぶりです。」
春瀬先輩の浴衣だ。
ヤバすぎる、かわいい。
「久しぶり、梅崎くん。
なんかごめんね。
実咲が無理矢理誘ったんでしょ?」
「あ…いえ……
そんなことないです。」
最初は無理矢理だった感じだけど、
今考えると最高なことだよな。
夏休みで全然会えないから、春瀬先輩と会えてよかった。
「え…えっえぇーー。
涼介の待ち合わせの相手って有名な先輩たちかよーー。」
…あ、
こいつのこと忘れてた。
「あー、梅崎が言ってた。ふーん、なかなかの
イケメンねぇ~。
君、名前は?」
北川先輩の着眼点って……。
「さ…佐久間悠輝です。」
「そ、よろしく。」
「佐久間君よろしく。あたし、春瀬ちひろ。」
「よろしくお願いします。」
え?
春瀬先輩が悠輝と普通に喋っている?
よかった。
先輩の男嫌いも少し治ってるような感じがした。
「今日のラストに花火見れるらしいわよ。」
「花火?うわぁー。見たいなぁー。」
花火かぁ。
先輩と一緒に見れたら幸せなんだろうなぁ~。
「梅崎、浮かれないでちょっとこっちにきな。」
「?…実咲?……」
いきなり、北川先輩に隅の方に呼びだされた。
なにか、悪いことしただろうか……。
「いい?私と佐久間が、一緒にはぐれるから……。」
は?
北川先輩が悠輝と一緒にはぐれる?
ってことは……。
「俺と春瀬先輩、二人ってことですか?」
「そうよ。」
ま…まじかよ~
ムリムリムリムリ。
「しゃきっとしなさいよ。ちひろと付き合いたいんでしょ?」
「…はぁー。一応は……。」
「なら、がんばれ。以上!検討を祈る。」
検討を祈るって……
渋い言い方するんだなぁー。
「結果、報告ね。じゃあ」
報告って…
おいおいまじかよ。
北川先輩すごく楽しんでなかったか?
最近、実咲の様子がおかしい。
いつもかもしれないけど……。
だって、夏祭りに来てみるまで誰と一緒なのか知らなかったし……
梅崎くんとばかりコソコソと話してるし……。
何の話してんのかなぁ?
ちょっと、気になったりするんだよなぁー。
そして、胸の辺りがなんかモヤモヤする。
何故かわからないけど……。