私のかわいい後輩君


「…以上で終わるが……北川は、プールの補講忘れんなよ。」


「っげ。覚えてやがったか…」







「実咲また?」


「らしいわね。迂闊だったわ……。」


迂闊って…ね。
実咲は、毎年の如くプールを見学する。
泳げないわけではないらしい。


本人曰く、肌が焼けるのが嫌なんだそうだ。



「補講やだよー。」


やだよー…って
実咲さんキャラ壊れてますよ……。




というわけで夏休み。



「てか、暑いよー。」


「無理。」


今日は、
さっきまでプールの
補講を受けてた実咲と
久しぶりに遊んでいます。


「とりあえず、私の家に行きましょ。」


「はーい。」


久しぶりだな。
実咲んち…この子の家は確か……。






デカイんだよね。


「相変わらずのでかさですね。」


「そかな?」


いつもいる家だから…

感覚は……



ないか…。



「それより、どうよー。
『あたし、もう一回恋してみようかな…』って宣言してたわりには……。」


どうって……。


「以外と難しいよね。恋するってさ。」


長い間、恋とかしてないから、どんな気持ちが“恋する気持ち”とか忘れちゃったもんな。


「ふーん。ま、あんた出会い求めないもんね。」


出会い……ねぇ~。


「んじゃ~さ。今度の夏祭りでいい人でも探す?」


夏祭り?
いつだっけ……


「おい。楽しみにしてたわりには、日にち知らんのかよ。」


「エヘヘ。んで、いつ?」


「来週の日曜日くらいだっけかな?行くでしょ?」


来週か……。
8月になるのか……。


そういえば…
梅崎くんにあってないなぁー。



……てなに考えてんの?

なんで、ここで梅崎くんの名前がでてくんのよ!


「どした?顔赤いけど……ははーん♪なんか……」


「べっ別に何も考えてないよ。」


「あやしー。そんなことより、誰か誘う?」


「二人じゃなくて?」


「だって、女二人だけじゃ淋しい女の子じゃん。」


女二人ってことは……。


「まさか…」


「正解。そのまさかでーす。」


そうだろうとは、思ってたけどね。


「はぁー……んで、誰誘ったの?」


「ん―-……。ないしょ♪」


“♪”じゃなくてさぁー。




「…高校生初めての夏休みだからって浮かれないように!」


長ったらしい、担任の話も終わりいよいよ夏休み。


「涼介。どうだった?成績のほうは……」


「成績か?普通だったような…」


「見せろ。………はぁー。なんだよ。良すぎるだろ…俺、お前の頭脳欲しいわ」


はは…。
俺の頭脳ねぇー。



「それより、今年の夏祭り行くだろ?」


「おぉー。たぶんな…。あんまり、好きじゃないけどな。」


「お前、人混みとか嫌いだっけ?」


俺は、夏祭り自体は好きなんだけど、人混みが嫌いで毎年行くかどうか迷っている。


「行こうぜ。かわいい娘捜しにさぁー。」


かわいい娘ってお前は、どっかの親父かよ……。


「考えとくー。じゃあな、悠輝。」


「おう。またメールすんわ。」


メールか……。
そういえば、俺って…
北川先輩のアド知ってんのに、春瀬先輩のアド知らなくね?


「なにやってんだろ。」


チャンスは、いっぱいあったのに……。


あぁー。

ふと、思いだすこの言葉
『俺、お前の頭脳欲しいわ』。


悠輝、いくら頭がよくてもダメなんだ。

素直にものがいえる悠輝の方が頭いいのかもしれない。


仕方ない。
考えても惨めになるだけだ。


「帰るか。」










《ミーン…ミーン……ーン》


「あちぃ~。はぁ、なんで夏休みに学校に行かないといけないんだ……」


って、俺が夏休みの宿題学校に忘れたからか……。


「失礼しました。」


さすが、夏休みの学校。
誰一人いない…。

 ……。


てことは、春瀬先輩もいない。
次会えんのっていつだろ?



ってやばいだろ。


俺、先輩中毒かも……な。


《ガラガラッ…》


「あったあった。」


にしてもガラガラだなぁー。教室。


帰るか…。


それにしても、先輩ちゃんと恋してるかな。


でも、先輩が知らん人といい感じになってたら……。

たえらんねー


あ~あ、なんであん時、応援するとか言ったんだろう。


俺って馬鹿なんじゃ実は……。


「一人で暑苦しいわね。あんたも。」


「わぁ、ビックリさせないで下さいよ。」


「ビックリはこっち。夏休みなのにどうしていんのよ。あんた、頭はいいでしょ?」


頭は…って冷てー。


「俺は今日、忘れ物を取りに来たんですよ。北川先輩こそどうして…」


「プールの補講よ。別に泳げないわけじゃ、ないから…」


聞いてねぇーよ。そこまで……。


「……そうだ。あんた、今後の夏祭り行く?」


夏祭りって悠輝が言ってたヤツか……。


「行きますよ、一応…。」


「そ。……どう?行きたくない?ちひろと……」


ちひろとって……春瀬先輩と??


「え?…どっ…ど…」


突然舞い込んできた、ビックニュース。

いきなり過ぎて、動揺を隠せないでいる自分がいた。

私のかわいい後輩君

を読み込んでいます