私のかわいい後輩君


「……先輩。お願いです。神崎先輩を許して下さい。」


そう言うと、梅崎くんは深々と頭を下げた。

全然関係ないのに……。


  ………。


「あたし、あの日……先輩から裏切られたんだと思ってた…」


突然告げられた、言葉。

嬉しかった日々から、突然突き付けられた悲しい現実。


逃げだしたくて…

認めたくてなくて…


現実から逃げるように、あの丘に行った。



そして……




誓った


『もう恋なんてしない』


って……





男嫌いという堅く重苦しい壁をつくって


自分を守ってきた。


「何処か信じてた。先輩は、そんな人じゃないって」


許せないって思ったときもあった

でも、どうしてか先輩を悪者にできなかった。


「だから……許すもなにも最初から…」


「先輩…!」


「うん。許すよ先輩を……。」


「ありがとうございます。先輩なら、そう言ってくれるって信じてました。」


真っすぐにあたしの瞳を見ながら優しく君は笑った。


そして、あたしの闇に染まっていた心にも……

明かりが戻ったそう感じた。



少しずつだか、君との距離も近づいた





そんな気がする。










真実は、時には呆気なくて


確かめて見れば、以外と答えは見つかる。





「あたし、もう一回恋してみようかな…」


いつまでも、
過去に捕われないで
前に進みたい。


「うん。応援する頑張ってちひろ!」


「俺も応援します。」


「ありがとう二人とも。」



もう一回頑張ってみる……



今の自分が好きになれるように。






『以上をもちまして、1学期の終業式を終わります。』








「ふぃー。やっと、終わったー。明日から、夏休みだょ。」


「いやー暑いね~。」


「いや、話噛み合ってないから……。」



長かったようで、短かった1学期も終わりいよいよ夏休み。


明日から、何して過ごそうかなー。


「ふふーん♪」


「相変わらずだね。」


「楽しみじゃん♪」


だってだって…
かき氷にスイカ…
海にプールに夏祭り…♪


「ちひろさん。声もれてますよ…。」


もー楽しみで仕方がない。


「…以上で終わるが……北川は、プールの補講忘れんなよ。」


「っげ。覚えてやがったか…」







「実咲また?」


「らしいわね。迂闊だったわ……。」


迂闊って…ね。
実咲は、毎年の如くプールを見学する。
泳げないわけではないらしい。


本人曰く、肌が焼けるのが嫌なんだそうだ。



「補講やだよー。」


やだよー…って
実咲さんキャラ壊れてますよ……。




というわけで夏休み。



「てか、暑いよー。」


「無理。」


今日は、
さっきまでプールの
補講を受けてた実咲と
久しぶりに遊んでいます。


「とりあえず、私の家に行きましょ。」


「はーい。」


久しぶりだな。
実咲んち…この子の家は確か……。






デカイんだよね。


「相変わらずのでかさですね。」


「そかな?」


いつもいる家だから…

感覚は……



ないか…。



「それより、どうよー。
『あたし、もう一回恋してみようかな…』って宣言してたわりには……。」


どうって……。


「以外と難しいよね。恋するってさ。」


長い間、恋とかしてないから、どんな気持ちが“恋する気持ち”とか忘れちゃったもんな。


「ふーん。ま、あんた出会い求めないもんね。」


出会い……ねぇ~。


「んじゃ~さ。今度の夏祭りでいい人でも探す?」


夏祭り?
いつだっけ……


「おい。楽しみにしてたわりには、日にち知らんのかよ。」


「エヘヘ。んで、いつ?」


「来週の日曜日くらいだっけかな?行くでしょ?」


来週か……。
8月になるのか……。


そういえば…
梅崎くんにあってないなぁー。



……てなに考えてんの?

なんで、ここで梅崎くんの名前がでてくんのよ!


「どした?顔赤いけど……ははーん♪なんか……」


「べっ別に何も考えてないよ。」


「あやしー。そんなことより、誰か誘う?」


「二人じゃなくて?」


「だって、女二人だけじゃ淋しい女の子じゃん。」


女二人ってことは……。


「まさか…」


「正解。そのまさかでーす。」


そうだろうとは、思ってたけどね。


「はぁー……んで、誰誘ったの?」


「ん―-……。ないしょ♪」


“♪”じゃなくてさぁー。