私のかわいい後輩君


「桜丘大学……。桜丘大学にいるって…」


「ありがとうございます」


桜丘大学…


そこに…


春瀬先輩の男嫌いの原因になったやつがいる……。

待ってて下さい。

先輩の男嫌いは、俺が絶対に治しますから…。

そして、放課後桜丘大学に足を運んだ。


「すみません。」


「ん?」


「神崎さんっていますか?」


「神崎…って神崎大翔?」


「はい…」


「確かあいつ…ちょっと待ってて。呼び出すから…」


そう言うと、優しそうな大学生は、電話をかけだした。


10分たって、神崎って呼ばれている人がきた。


「いきなりすみません。俺、梅崎涼介っていいます。」


「よろしく。僕に用事ってなんだい?」


「単刀直入に聞きます。春瀬ちひろさんのことなんで振ったんですか?」


「春瀬…ちひろ…なんで、君がその名前知って……。」


なんだ?
春瀬先輩の名前出したとたん。
険しそうな顔になった。

やっぱり、あの日春瀬先輩となにかあったんだ…。

北川先輩の知らないなにかが……。


「振ったか…。確かにそうなるんだ。」


は?


「神崎先輩が、春瀬先輩を振ったって……。」


「うん…。」


「なにがあったんですか?」







「はぁー……。」





神崎先輩が

全部悪いって

そう思ってたけど、



以外とひどい人ではなかった。






そうなると、先輩たちは勘違いしてる。





それを伝えるべきなのか、俺は迷っていた。



うしっ!
どんなに考えたって意味ない。


わかんねぇーけど、






もし……







春瀬先輩が神崎先輩の話を聞いて、少しだけでも男嫌いが克服できたら…――。








もしかしたら、春瀬先輩の心からの笑顔が見れるかもしれない。




そう決心した俺は、北川先輩をメールで呼び出した。




あの日から、梅崎くんのあの言葉が頭から離れない。




すごく嬉しかった。










でも……










まさか、あたしが男嫌いだなんて知ってたなんて……。



どう思ったんだろうか…。


呆れちゃたよ……ね。




なんで、こんなこと考えてんだろ……?


今日のあたし頭おかしいや。



「…ち…ちひろ!」


「…ん?何?」


「放課後、屋上で話があるんだけど…って大丈夫?」


「あ…うん…大丈夫。……放課後ね…。」


授業があってるのに頭に入らない。
嫌いな教科だから……?
いや……違う。


いつもだったら……ってどうしたんだろう。










放課後、屋上で話があるって実咲に言われたから、屋上に行くと……



そこには、実咲と……梅崎くんがいた。


なんで、呼び出されたかわからない…。


「実咲、話って何?」


「ごめん。私が話あるんじゃないの…」


え?
じゃあ……


「すみません、呼び出したのは……俺です」


梅崎くんが……?!


「俺が呼び出したのは……神崎先輩のことです。」


神崎……先輩…

………!


な…んで…?
あなたが知ってんの?


どうして……
その名前が………。


忘れたって思ってたのに……。







「…ちひろ……!」


「あ…うん。」


「今日、俺が話すのは……先輩たちが知らないことです。」


あたしたちが知らない……こと?


そう言うと、梅崎くんは淡々とあの日のことを話始めた。



「あの日、神崎先輩は……春瀬先輩を思って別れを切り出しました。」


あたしを思って……?


「は?ちひろのことを思って?ふざけんじゃないわよ。あいつは……『「は?俺そんなこと言ってないんだけど。」』って私に吐き捨てたのよ?」


知らなかった、実咲と先輩の間でそんなことがあったなんて……。


「たしかに…そうです。でも…神崎先輩は、そう言うしかなかったんです。」


そう言うしかなかった……?


「どういうこと?」


「はい。春瀬先輩に別れを告げる前の日、坂月さんから警告があったんです。
『あたしと付き合いなさい。これ以上、彼女が傷つかない為にも………ね?それに…別れないと彼女危ないから……』
これ以上、春瀬先輩を傷つけたくない。
春瀬先輩をイジメから守る為に坂月さんと付き合うことにしたらしいです。」


あたしを守る…ためだったの……?


先輩は……



「……先輩。お願いです。神崎先輩を許して下さい。」


そう言うと、梅崎くんは深々と頭を下げた。

全然関係ないのに……。


  ………。


「あたし、あの日……先輩から裏切られたんだと思ってた…」


突然告げられた、言葉。

嬉しかった日々から、突然突き付けられた悲しい現実。


逃げだしたくて…

認めたくてなくて…


現実から逃げるように、あの丘に行った。