裟菟のこの笑顔にどれだけ妙な気持ちにされてきただろう。


罪悪感とともにある気持ちに毎回頭を悩ますしかないのだ。


罪悪感があるのは氷点下零度の笑顔のはずなのに瞳の奥に見える感情はとても悲しそうに揺らいでいるから。


ねぇ…どうしてそんなに悲しそうなの？


あたし、裟菟に何をした？


その笑顔だけじゃ何も分からないよ…。


ちゃんと教えてくれなきゃ…。


裟菟はあたしの思っていることを理解してくれているのにあたしは裟菟の思っていることを理解できていない。


こういう時、無性に寂しさを覚えるんだ。




「ちょっと…来て？」


いつもは結構強引であたしの意見なんか聞いたりしないくせにこの氷点下零度の笑顔を見せた時だけはいつもから考えられないほどの弱々しい声なんだ。


だから行ってしまう。


それで毎回、複雑な思いになると知っていながらも。


氷点下零度の笑顔を見せたあとの裟菟は放っておけないんだ…。


この気持ちは何なのか全く分からないけど…。


頼れるけど守りたくもなる存在。





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