*
「陽菜姉ちゃん、またね」
「うん!
またね、優太君」
すっかり弟のように懐いてくれた優太君。
本当に弟みたいだなぁ…
「陽菜ちゃん、成弥と別れたらお兄さんの所に……ゔっ」
「兄貴は彼女いるだろーが」
相変わらず、冗談の通じない成弥。
…に、蹴られる大介さんはかわいそう。
「また来てね?
いつでも待ってるから」
「陽菜ちゃんは、もううちの娘みたいなもんだからな」
温かく笑ってくれる美沙子さんと慎吾さん。
うぅ…
椿谷家って、良い家族だなぁ…
思わず涙しそうになる。
「さ、私達はもう帰るよ。
今日は本当にありがとうございました」
「ありがとうございましたっ」
お母さんに続いて、一緒に頭を下げる私。
なんか不思議な感じ…
「陽菜」
「なぁに?」
「おやすみ」
「うん…おやすみっ」
さすがに、親の前では、キス魔の成弥も何もしなかった。
代わりに言った“おやすみ”の4文字。
“バイバイ”じゃなくて、“おやすみ”。
それだけでも私の頬は緩まった。
私は正真正銘の幸せ者です!!
,