「…陽菜」
「な、なに!?」
“部屋を出る”と言う選択肢が思いつかなかった私…
成弥に背中を向けたまま返事をした。
ゔ…声が裏返った。
「……………」
「………成弥?」
あれれ…?
返事…なし?
「なる……っ」
フワッと香る成弥の香…
そして、温かい腕の中…
成弥が後ろから抱きしめた、そう理解するまで時間がかかった。
「…ど、したの?」
「俺、ダメっぽい…」
「え?」
なんか…
いつもと違くないですか…?
なんか、さ…
俺様じゃなくて、甘えるような弱い声…
「やばい…
兄貴も優太でも…陽菜に触れられると妬いちまう…」
「え?」
耳元で囁くように言われた。
ちょっと待って…!!
これは私の方がやばいって!!
ドキドキが…っ
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