帰りの電車は話が盛り上がって、俺達は見事に意気投合!!





…なんて、それは叶わない希望であって。




現実は、互いに無言。



「……………」

「……………」



電車は空いていたため、俺達は並んで座ることができた。

心臓は破裂しそうなくらいうるさいし、隣の深川を意識しすぎて、俺は座るだけでいっぱいいっぱいだった。



「………ねぇ」

「…はい?」



窓の外の景色を見ている深川の横顔は綺麗で…

夕日に照らされて、少しだけ赤くなっていた。



「……何か話してよ」

「……………」



話す?

俺が?

そんなこと無理です。


座るだけで精一杯の俺は、深川が喜ぶ楽しい話なんて浮かぶ訳がない。



「…やっぱいい」

「ごめん…」



また沈黙が始まった。


電車が着くまで、深川は窓の外を眺めているだけだった。



やっぱり、俺はとんでもなくヘタレだ。



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