「そろそろ帰るか」
成弥の言葉にみんなが頷いた。
日は沈みかけていて、帰るにはちょうどの時間だ。
「高峰、帰るよ」
「え?」
突然深川に呼ばれる、俺。
「せっかくなんだから…
陽菜は椿谷に送ってもらいなね」
あー…
要するに、俺は邪魔者扱い、ね。
…駅まで一緒でも良いと思ったけど。
「高峰、早く!帰るよ!」
「わ…分かった」
今は何も言わないでおこう。
これ以上気まずくなるのは嫌だからな…
「じゃあね、陽菜。
椿谷、陽菜をよろしく」
「バイバイっ
栞、恭平君!」
「じゃあな」
笑顔のまま手を振る桜木ちゃん。
桜木ちゃんがいれば、深川は笑ってくれるのになぁ…
どんなに心細いことか…
「高峰はーやーくー!
先に行くよ!」
ぼーっとする俺を置いて歩き出す深川。
全くと言うほど、帰りの電車の時間が楽しくなる気がしない。
いっそのこと、個人で帰りたいくらいだ…
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