でも…
「ありがとな」
「え?なにが?」
俺のために浴衣選んでくれて…
「何でもねぇよ」
「ずるい!!教えてよっ」
「やだ」
まじで離さねぇから。
「意地悪っ!」
「けっこう」
「なっ…
もう成弥嫌いっ!」
お前な…
陽菜は拗ねると“嫌い”と軽く口にするけど…
その度に俺は傷付いてんだぞ?
どうしてくれるんだよ?
「それ本気で言ってんの?」
「……そんなわけ…ないじゃん!」
「ん、だよな」
本気じゃないってことくらい知ってる。
でも…
やっぱ、安心できねぇんだよなぁ…
「…成弥のこと…ちゃんと好きだよ?」
顔を真っ赤にさせて恥ずかしそうに言う陽菜。
さっきまであんなにキレてたのにな…
「…成弥?」
…やべぇ、俺まで恥ずかしくなってきた。
こんな人通りあるなかで、堂々と“好き”とか言うなよ…
きょとんとした顔で、上目遣いまでしてくる。
本人自覚ねぇし…
まじで常習犯だよな…?
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