え、ちょっ待って。
なんで?苦しい…。



「はー!セーフ♪間に合ったー」

目の前には私の手を引いて走っていた男の子が、私の方を向いて満足そうに歯を見せて笑っている。

よく見れば、さっきの自己紹介で
『俺らが仲良くしてもらうわけね。』
といっていた男の子だった。

人懐っこそうな可愛い顔に輝く白い歯、少し日に焼けた健康的な肌。

背はそんなに高いってわけではないけど、170くらいは有りそうで、いかにもモテそうな青年だった。


――――――けど…やばいっ

呼吸が戻らない。
全力疾走なんてしたことなかったから…

「てか、大丈夫?顔色悪くない?もしかして、走ったから?」

「う…うん。大丈夫。気、にしない…で。」


や…ばい…

ハァ、ハァ…

「え、でも―」


バタン―…

「ちょ、みはるん?みは―…」


遠退く意識の中で、青年が私の名前を何度も呼ぶのが聞こえた。