時間が経つにつれて、教室にいる生徒の数は増えていった。
そのうちに心臓の音も落ち着きを取り戻した。
さっきから考えていたのだけれど、やはり自己紹介は面倒くさい。
だから、無難にすることにした。人の興味を引くような話は、なるべくしたくない。
私はあまり人付き合いがうまい方ではない。というか、あまり好きじゃない。
他人の顔色をうかがって、相手の喜ぶような返事をして、思っていなくても、"わかるわかる"と共感し、誰かの陰口で盛り上がる、なんてくだらないと思う。
するのも嫌だし、されるのもウンザリ。
自分をもってる、って言えんの?
だから私は、先生にまあまあいい顔をして、近所のうるさい大人に愛想よく挨拶をして、クラスメイトに最低限で無難な対応をする。
だから、東京にも"私が転校して寂しい"なんていってくれる子がいないのも当然か。
だけど、曲がったことは気に入らない。自分が正しいと思えば、相手が誰であろうと関係ない。構わず言うのが私なりのこだわり。
建前がないぶん、やりやすいくらいだ。