男はクスッと笑ってから「彩夏って呼んでもええ?」と聞いてきた。

「…勝手にしれば」

小さく呟くように言った。

「俺の事も名前で呼んでええよ。
彩夏は特別や!」

そう言って、ニカッと笑った男。

「…名前何?」

あたしが聞くと、男は「ありえへん…」と言う顔であたしを見てきた。


…なんか変な事言ったっけ?

「分からへんの? 俺の名前…」

「…何言ってるの? 初対面だよ?

それとも、前何処かであったっけ?」

男は口が塞がらんみたいな顔をしてる。

「しょ、初対面やけど…。
まさかやけど雷龍知っとる?」


らいりゅう…。
聞いた事がナイ。

「雷って書いて、龍や!!」

「……雷龍…。知らない」

あたしが言うと男は余計驚いた。

「彩夏、絶対覚えてな。
雷龍は全国の族で№1の族や。

んで、俺がそこの幹部しとる鈴木 祥平や。よろしくな!!」
(スズキ ヨウヘイ)

「へー。幹部なんだ~」

あたしが普通に答えると、また驚いてる。

「…驚かへんの?」

「…どして?」

あたしの言葉に、祥平はまた驚く。

「いや、№1の族なんだぞ?」

「うん。それが何?」

祥平は黙ったと思ったら、笑いだした。

「彩夏サイコーやっ!!!おもろいっ!!」

は?
全然おもろくないぞ。
あたしが唖然としてると、祥平があたしの髪をクシャと撫でてきた。