船に着くとセナさんが厨房で作業をしていた

 『セナさん何してるんですか?』

 「渚か…」

 『出発の準備ですか?』

 「ああ…明日の明け方に発つからな…」

 そう聞いて私は少し胸を捕まれた様に苦しくなった

 『セナさん…私に一品だけでいいので作り方教えて貰ってもいいですか?』

 「…かまわない」

 そう言ってセナさんに教わりながら料理を始めた
 
 どうしてもセナさんの味を忘れたくなかった
 
 出来上がった料理を見てセナさんはやれば出来るなと言って頭を撫でてくれた

 『これ…セナさんが食べて下さい』

 「…毒味か?」

 そう怪訝そうな目で見てきた

 『ち…違います!!!』

 「フ…冗談だ」

 そう言ってセナさんは料理を平らげ旨かったと言ってその場を離れた

 セナさんが離れたあと涙が溢れて止まらなかった
 みんなと別れる事がこんなに苦しいなんて思わなかった